科学技術と社会のインタフェイスのために....2 科学的な妥当性と市民 藤垣裕子 科学技術は 民主主義と矛盾する? 先回の記事で紹介したように、現代の科学技術と社会との接点では、「科学者に問うことはできても、科学者にも答えられない問題」(たとえば遺伝子組み換え食品の安全性について)をめぐって、公共空間における民主的な議論が必要になる課題が増えつつある。公共空間においては、科学技術に対する民主的コントロールが必要となるのである。 そのコントロールはいかにして可能なのだろうか。まず最初に「科学技術と民主主義はそもそも矛盾する」という話からはじめてみよう。 民主主義(democracy)とは、語源がギリシャ語のdemo-kratiaで、demos(人民)とkratia(権力)とを結合したものである。すなわち、人民が権力を所有し、権力を自由行使する立場をいう(広辞苑、第五版、岩波書店)。つまり、「