内容 近年のドイツ法学におけるひとつの潮流である「保障国家(Gewährleistungsstaat)論」を,憲法学の見地から批判的に検討。 国際化,規制緩和・民営化の時代において現実政治の場から出た「活発化させる国家」構想に源流をたどることのできるこの概念は,各種改革における指針として国家と社会の責任配分の変化を単に現象面から説明するにとどまらず,法治国家・社会国家が前提としてきた法律の留保や基本権論の法教義学,憲法法解釈,解釈方法論,憲法政策論へいかなる影響を与えるのか。学説から保障国家論の全体像を素描しながら,それが憲法学に対しいかなる意味を有するかを論ずる。