「危機の美術批評をめぐって」 藤枝晃雄 インタビュー 美術批評に何が起こったか ──最近、美術の世界では、アニメ風ポップ・アート作品に異常な人気が集まるかと思うと、他方で6,70年代の現代美術、たとえばモノ派などが再評価されたりと、なんだか混沌としてますね。そんな中でいま、美術批評の方はどうなっていますか。 美術批評が世界的に危機的状況にあるということで、近年、「オクトーバー」という雑誌でのシンポジウムとかラファエル・ルビンスタイン編の『批評の混乱』、ジェームズ・エルキンズ『美術批評に何が起こったか』や、この人とマイケル・ニューマンが共著した『批評の状況』という本が出版されています。 でも「世界的な危機だ」というのは欧米人が勝手に言っていることで、彼らは日本の事情を知っているわけではないんです。そもそもわが国のように危機の意識がないところでは危機はありえません。それ以前に僕は美術の批評