「スタチン」という種類のコレステロールを下げる薬があります. 長らくコレステロールは動脈硬化の元凶とされてきました.現在でも動脈硬化予防のためにこのスタチンは臨床現場で多用されています. しかし,この薬の是非については2010年後半に「日本動脈硬化学会」と「日本脂質栄養学会」という二つの学会が相反する見解を出して議論になったことがあります. 日本動脈硬化学会は「コレステロールが低ければ低いほどよい」という立場であり, 日本脂質栄養学会は「コレステロールが高いほど長生き」とする立場で,両者の見解は真逆です. そして日本動脈硬化学会はガイドラインを作成し,コレステロールが高い人へスタチンの投与を勧めています. 一方日本脂質栄養学会はスタチンを投与する必要のある人はほとんどいないとして,動脈硬化学会の出すガイドラインに異議を唱えています. 一体どうしてこのような真逆の見解が出てしまうのでしょうか