専制的な政治体制にとって、自分たちに歯向かう活動家を「始末」するのに最も最適な手段とは? 刑務所へぶち込むか、自宅軟禁か、あるいは殺害するか。どれも違う。最も望ましい方法は――国外追放だ。 手厳しく政府を批判する活動家でさえ、「安全地帯」の国外へ追放された途端に、発する言葉の重みを失ってしまう。第三者は、活動家が安全な場所へ逃れられてよかったと思うだろうが、実際は体制側が耳障りな活動家から逃れたことにもなる。 中国・山東省での自宅軟禁から「奇跡の脱出」を遂げ、4月26日に北京の米大使館に保護された盲目の人権活動家、陳光誠(チェン・コアンチョン)は、その点をよく分かっていたに違いない。だからこそ、米大使館に保護された当初、中国に留まることを望んでいたのかもしれない。 しかしその後、陳は一転してアメリカへの出国を希望。中国当局もこれを容認する意向を示した。 陳には相当な圧力が掛かっているはずだ