出版や報道の業界には、いまだに紙に印刷したパッケージメディアの方が高級で、インターネットに流れる情報は一段低く見る傾向がある。しかし本書によれば、それは慣れ親しんだお金の流れが保証されているビジネスモデルに固執しているにすぎず、メディアの形態の変化についていけない大出版社は「ネット脳死状態」なのだそうな。インターネットが持つメディアとしての可能性をわかりやすく説き、既存メディアがウェブ攻略に手をこまねいている間に「出でよ未来の菊池寛」とアジテートする、なんとも刺激的な言説で話題の一冊だ。 著者は1994年、インターネットの黎明期に米国で一世を風靡した伝説的なITカルチャー雑誌「ワイアード」の日本版を創刊。その後もプロフェッショナルな「編集者」として月刊誌「サイゾー」を創刊し、インターネットとのクロスメディアに、ブログの書籍化やオーディオブック販売を通じて先鞭をつけた。06年には米国発祥のブ