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ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (13)

  • 天才がどんどん生まれてくる研究室? : 有機化学美術館・分館

    7月2 天才がどんどん生まれてくる研究室? カテゴリ:雑記 一応プロバイダの引っ越し作業も済み、ネット環境もようやく整いました。もちろん設定やら申請やらいろいろやらなければならないことはあるのですが、近いうちにHPの方の引っ越しも行う予定です。 さて最近「天才がどんどん生まれてくる組織天才がどんどん生まれてくる組織」(齋藤孝著、新潮選書)というを読みました。漫画のトキワ荘、静岡の少年サッカー将棋の奨励会、江戸時代の「藩校」など、後にその世界を変えるほどの天才を続々と生み出した「組織」にはいったい何があったのかを考察したで、それぞれに非常に興味深い分析がなされています。特に教育に携わる方には、必読の一冊といってよいのではと思います。 このの「宝塚歌劇団」を取り上げた項目に、「密封錬金術」という言葉が出てきます。世間から隔離された純粋な空間に生徒たちを置き、一日中みっちりと高密度で最高

    天才がどんどん生まれてくる研究室? : 有機化学美術館・分館
  • 一人でサイエンス : 有機化学美術館・分館

    4月29 一人でサイエンス カテゴリ:有機化学医薬 Nature誌やScience誌などで、有機合成関係の論文を見かける機会が増えてきました。90年代ごろには、両誌に有機分野の論文が載ることはきわめてまれで、Nicolaouのタキソール全合成(Nature 367, 630 (1993).)や、村井らの触媒的C-H結合活性化反応(Nature 366, 529 (1993).)など、文字通り歴史的な論文がたまに掲載される程度でした。筆者など、ちょっと生物学分野に偏り過ぎなんじゃないの、と思っていたものです。 しかし最近では、毎週のように――はちょっと言い過ぎかもしれませんが、かなりたくさん有機分野の論文が掲載されるようになりました。その分、なんでこれがNature、Scienceなんだろかと思うようなこともありますが、まあ筆者の見る目がないのでしょう。 こうした超一流誌に掲載される論文は、

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  • アルギン酸で「つまめる水」を作る : 有機化学美術館・分館

    8月2 アルギン酸で「つまめる水」を作る カテゴリ:雑記 ”夏休みの自由研究に!手でつまめる水「Ooho」を作ろう!”という記事を見かけました。下の動画にある通り、ただの水がまるでゼリーかスライムのように、手で持ってつまみ上げられる状態になるというものです。 作り方は上記リンク先に詳しく載っています通り、アルギン酸ナトリウムの水溶液と、塩化カルシウムまたは乳酸カルシウムの水溶液を別個作っておき、前者の溶液を後者の中に落とすだけで、簡単に作れるそうです。確かにこれは楽しそうですね。どちらも品添加物などとして使われるほど安全なものですし、アマゾンなどでも手頃な価格で入手可能(アルギン酸ナトリウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム)ですので、確かに夏休みの自由研究によさそうです。 創案者は、単におもちゃとしてではなく、ペットボトルなどを必要としない、新しい水の運搬手段としてこれを提案しているよう

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  • 粉塵爆発のこと : 有機化学美術館・分館

    6月30 粉塵爆発のこと 27日、台湾でイベント中に起きた爆発事故は、多くの怪我人を出す大規模なものであったようです。イベントは、コーンスターチに各種の色を着けた粉を客席に向けて噴射する「カラーパーティー」と呼ばれるもので、この粉が爆発を起こしたものと見られています(動画)。 こうした、着色した粉を用いるイベントは、「Color run」などの名でブームとなっており、世界各国で行われているようです。日でも毎月のように開催され、多くの参加者が詰めかけています。 チリで行われたカラー・ラン しかし、なぜこの台湾のイベントでのみ爆発が起きたのか、どこの台所にもあるコーンスターチがなぜ爆発炎上したか、おそらくいろいろな条件が重なってのことだったと思われます。 粉塵爆発は、文字通り粉末状の物品が爆発することです。爆発しうる粉末の種類はいろいろで、小麦粉や砂糖、木やアルミニウム、コピー機のトナーなど

    粉塵爆発のこと : 有機化学美術館・分館
  • アントラキノンと「完璧な赤」 : 有機化学美術館・分館

    6月15 アントラキノンと「完璧な赤」 さて前回は、アントラキノン骨格を持った染料アリザリン(アカネ)について書きました。日を含め、世界各国で赤色のもととして重用された化合物です。 アカネ色素アリザリン しかしそれを上回るほどもてはやされたのが、16世紀にアメリカ大陸からもたらされた「コチニール」という染料です。これをヨーロッパに持ち帰ったのは、アステカ帝国を征服したスペイン人エルナン・コルテスでした。 コルテスの肖像(wikipediaより) コチニールは布への定着性が高く、鮮やかで深い赤色に染まるのが特徴です。ボイルの法則で知られ、化学という分野を切り拓いた一人であるロバート・ボイルは、「コチニールからは”完璧な緋色”が得られる」と絶賛しています。この色は「カーマイン」と呼ばれ、そのもととなる化合物は「カルミン酸」(carminic acid)と名付けられています。 カルミン酸。背景

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  • エキゾチック・フラーレン : 有機化学美術館・分館

    4月21 エキゾチック・フラーレン カテゴリ:元素科学炭素材料 今年2015年は、フラーレンことC60の発見から30年、大量合成法の発見から25年目に当たります。発見直後のようなフィーバーはおさまったものの、今も数多くの関連論文が発表されており、物質科学全体に与えた影響は甚大です。 フラーレン フラーレン研究にもいろいろの方向がありますが、そのひとつに「炭素以外の元素でフラーレンはできるか」というものがあります。これは90年代からいろいろ理論計算が行われていて、たとえば金原子が32個集まったものが安定に存在しうるといった話がありました。C60のようなサッカーボール型ではなく、三角形から成る60面体形です。 純金?のフラーレンAu32 その他の元素も、フラーレンのような球状のクラスターを作り得るはずです。たとえば、多くの多面体型クラスターを作るホウ素などは、非常に有力な候補と思えます。 ホウ

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  • 天然に存在した意外なもの(2)

    4月4 天然に存在した意外なもの(2) カテゴリ:有機化学 ということで、以前書いたネタの続きです。 ・珍しい官能基 天然にはずいぶんといろいろな化合物があり、まさかこんな構造は存在してないだろうと思えるものが、ちょくちょく見つかります。たとえば昔は、三重結合は天然物にはないなどと書かれたがあったものですが、今や下図のようなトリイン構造を持つものも見つかっています。どこかに突き刺さりそうな構造ですが、魚毒性があるのだそうです。ichthyothereolという名前ですが、どう発音したものなのかよくわかりません。 ichthyothereol 珍しい官能基としては、アジドを含んだ天然物がひとつだけ見つかっているのだそうです。「たゆたえども沈まず」さんでこれを知った時にはたまげました。非常にレアな構造ですが、いったいどのように生合成されているやら、非常に謎です。 アジドを含む唯一の天然物 同

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  • 有機化学系ツイッターbot : 有機化学美術館・分館

    9月21 有機化学系ツイッターbot カテゴリ:雑記 ツイッターには「bot」と呼ばれるものがあります。要するに、自動的にツイートを流すシステムのことで、一定の時間ごとにツイートするタイプが多いかと思います。過去の偉人の名言をつぶやくもの、有用な情報を流してくれるものから、誰が何を目的として作ったのか謎すぎるもの(例)まで、さまざまなbotがツイッター上で活躍(?)しています。 で、最近では化学系のbotもずいぶん増えているようです。高校生対象のもの、元素を紹介するものなどいろいろですが、今回は有機化学系のbotで目についたものをいくつか紹介しましょう。 ・有機化学bot(@yukikagaku_bot) 有機化学bot@yukikagaku_botある化合物が芳香族であるためには、環状で平面であり、連続したπ電子雲を持ってなければならない。またπ電子雲は奇数組のπ電子対を含んでいなければ

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  • 論文探しの新兵器・Article Locator : 有機化学美術館・分館

    5月20 論文探しの新兵器・Article Locator さとうです。日はもう一発。 最近Chemistry Reference Resolverというツールが紹介されてかなり流行しております。要するに検索窓に「Nature Mater.10, 158, 2011」などと貼り付けてリターンキーを押せば、一発でその論文にたどり着くという便利サービスです。 が、「でも対応してないジャーナルも結構あるなあ」などと思っていたあなたに朗報。さらに便利なサイトを教えていただきました。その名もArticle Locator for Chemistry。基的な使い方は同じですが、有機化学に限らず非常に多くのジャーナルに対応しています。 「JavaScriptを使って完全にクライアントサイドで動くので、HTML + JavaSctiptのファイル一式をダウンロードしてローカルフォルダ内で動かすこともで

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  • まだこの世にない化合物 : 有機化学美術館・分館

    4月20 まだこの世にない化合物 マンガや小説に出てくる架空の化合物というのはいろいろあり、なかなか面白い設定のものもあります。しかし構造式までしっかり明かされているケースは多くありません。先月紹介した「ラブ・ケミストリー」には、主人公が合成しようとしている「プランクスタリン」という化合物の構造式が、裏表紙にもしっかりと印刷されていますが、これは極めて珍しいケースといっていいでしょう。 プランクスタリン ところが先日某所にて、月刊ヤングマガジンに連載されている「エリート!!」というマンガに、見たことのない分子の構造式が載っているとの情報がありました。刑事対爆弾魔の話であるようです。てことでちょっと購入。こんな分子でした。 ほほう、なかなか興味深い。 ドデカニトロヘキサプリズマン。まだ合成されたことのない分子です。これに近い分子としてはオクタニトロキュバンがあります(以前館でも紹介しました

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  • STAP細胞の「不正」とは何だったのか : 有機化学美術館・分館

    4月11 STAP細胞の「不正」とは何だったのか STAP細胞の騒動が世間を揺るがせています。特に4月9日、小保方晴子氏が久方ぶりに姿を表し、記者会見を行ったことで、騒ぎは最高潮に達した感があります。 ブログではこの件に関し、今まで何も触れてきませんでした。専門外でもありますし、あまりよい話題でもないですし、筆者は他人の不正をあれこれ論評できるような偉い人間でもありません。 ただ、9日の会見を見て、「小保方氏の発言に納得した」「彼女の言うことを信じた」という人が多数派であったのには驚きました。ネットでのアンケートでもそうですし(※)、テレビ番組での調べでも、6〜7割の人が小保方氏を支持するとの結果が出ていました。これはずいぶんとずれが生じているかなと感じたので、思い切ってこの件について書いてみます。 (※)4月12日現在では投票結果が逆転し、「納得できなかった」が多数派となっているようで

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  • 純粋な試薬がよいとは限らないという話 : 有機化学美術館・分館

    2月24 純粋な試薬がよいとは限らないという話 カテゴリ:有機化学 反応がうまくいかない時は、基質や試薬をきちんと精製し、溶媒を蒸留して再チャレンジ……というのが化学者の常識です。ところが、精製して邪魔な不純物を除くと、うまくいかなくなることも世の中にはあるようです。 *   *   *   *   * 有機化学の歴史をたどってみると、不純物が呼んだ発見や混乱は相当数あるものです。有名なZiegler-Natta触媒は、フラスコに残存した試薬をきっかけとした発見でしたし、野崎-檜山-岸反応(NHK反応)は、試薬メーカーや製造ロットによって収率がばらつくことから、詳しい反応機構が判明したといういきさつがありました。 また2009年には、鉄触媒で進行すると報告されていた反応が、実は試薬に含まれる微量不純物の銅が真の触媒であったというケースもありました(記事)。このあたりのことは、たとえば「化学

    純粋な試薬がよいとは限らないという話 : 有機化学美術館・分館
  • 「涙の出ないタマネギ」にイグノーベル賞 : 有機化学美術館・分館

    9月14 「涙の出ないタマネギ」にイグノーベル賞 さて昨日、ハウス品などの研究グループが、イグノーベル化学賞を受賞したというニュースがありました(プレスリリース、PDFファイル)。この賞は「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に対して贈られるもので、今年で23回目となります。トンデモ科学などを揶揄するような授賞もありますが、近年ではユーモアを含んだ研究を顕彰して、科学に対して人々の目を向けさせる意図が強いように思えます。 というわけで今回受賞対象となった研究も、Nature誌に掲載されたほどであり、実に立派な内容です。タマネギを切ると目にしみるのはみなさんご存知と思いますが、この成分はプロパンチアール-S-オキシドという硫黄を含んだ化合物です。催涙性物質というのは(1)揮発しやすい(2)OH基やアミノ基などに結合しやすいといったものが多いのですが、これもまさにそうした構造と見えます。 プ

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