3年目の「9・11」には、東京では平和運動の大きなイベントもあったが、私は、死刑廃止運動に力を尽くす「フォーラム90」の連続セミナーを聞きに行った。 「オウム裁判・冤罪と死刑――河野義行さんを招いて」と題する講演会が早稲田で開かれたからだ。 オウム真理教が引き起こした松本サリン事件の被害者でありながら、警察・検察、およびそこから意図的に流された「リーク情報」をそのまま信じ込んだマスメディアによって、限りなく「クロに近い」容疑者として長いこと扱われた河野氏は、容疑が晴れた後の言動と立ち居振舞において、自分には到底出来そうにもないな、と思わせる態度を一貫してとり続けている。 事件に触れた著書にも、雑誌や新聞での発言にも、気がついた限りはすべてに目を通してきたが、一度ご本人の話を聞きたいと考えてきた。 1994年6月27日深夜のサリン噴射事件によって自らがサリン禍に巻き込まれた河野氏は、自宅が強