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ブックマーク / akihitosuzuki.hatenadiary.jp (16)

  • 『ハンセン病の歴史』などの無料小冊子配布 - akihitosuzuki's diary

    https://www.york.ac.uk/history/global-health-histories/publications-outreach/leprosy/ ヨーク大学の歴史学科で教授をしておられる医学史家のサンジョイ・バッタチャリア先生。これまでも何回か来日され、来年も慶應日吉で講演されることになっている。バッタチャリア先生が紹介してくれた、ヨーク大学がこれまで刊行しておられる疾病の国際史の小冊子を読んでいた。これは世界のハンセン病の歴史と現在と将来の小冊子で、英語と(おそらく)ポルトガル語の二言語構成である。世界各地のハンセン病の歴史がコンパクトに描かれている。 日からは、中谷比呂樹先生と宮坂道夫先生が書いていらした。中谷先生は、慶應の医学部を卒業後、厚生省からWHO に進み、 HIV やマラリアなどを担当する責任者となった。近年は慶應や阪大の特任教授をされている。宮坂

    『ハンセン病の歴史』などの無料小冊子配布 - akihitosuzuki's diary
  • 誤訳訂正 - 「アメリカの母体死亡率はなぜ発展途上国より高いのか 」について - akihitosuzuki's diary

    先日アップした記事、「アメリカの母体死亡率はなぜ発展途上国より高いのか」について、もとのエコノミストの記事の誤訳に基づいているという指摘を受けました。直接私の目につく形で指摘してくださったのは、ツイッター上の くまさん@bibliobibi でした。お礼申し上げます。他にも気がついた方が多くいらっしゃったと思います。 間違いを端的に言いますと、グラフ上のdeveloped countries を developing countries と勘違いして、あとはずるずるとその間違いを引きずりながら全体にどんどんおかしなトーンになっていくというものでした。みっともない間違いです。お詫び申し上げると同時に、猛省いたします。以下に、とりいそぎ手直しした記事を残しておきます。 エコノミストの記事より。アメリカの母体死亡率maternal mortalityが、過去25年間にわたって上昇しているという異

    誤訳訂正 - 「アメリカの母体死亡率はなぜ発展途上国より高いのか 」について - akihitosuzuki's diary
  • 20世紀ドイツの「精神病質」の歴史 - akihitosuzuki's diary

    Eghigian, G. (2015). "A Drifting Concept for an Unruly Menace: A History of Psychopathy in Germany." Isis 106(2): 283-309. 今年度は感染症の歴史を読んで講義ノートを作ったり、あるいは医学史の他の領域のや論文を読んだりする機会が多かったが、久しぶりに専門の領域である精神医療の歴史の文献を読むことができるモードに入った。楽しく心躍らせながら読んだ論文が素晴らしかった。 「精神病質」という診断カテゴリーは、曖昧なものとして精神科医たちが警戒しているものである。精神科医が権限を拡張するために作り上げた概念であるとか、性犯罪をおかしたものに厳しい対応をするための道具であるといった議論がされてきた。日では1960年代から70年代に、これが精神疾患として実在するのか、それとも

    20世紀ドイツの「精神病質」の歴史 - akihitosuzuki's diary
  • 「ニューロ・ヒストリー」の講演と報告 - akihitosuzuki's diary

    高林陽展先生が、「ニューロ・ヒストリー」についてのご報告を行います。6月21日14時より一橋大学にて。 第235回「歴史と人間」研究会のお知らせ 日時: 2015年6月21日(日)14時より 場所: 一橋大学西キャンパス館特別応接室 (キャンパス地図9番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html) 報告: 高林 陽展氏 タイトル: 「ニューロ・ヒストリーとは何か?―「神経学的転回」と歴史叙述の現在―」 要旨:2009年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のサーバーに「ニューロ・ヒストリー」なるウェブサイトが登場した。このホームページの設置者(ないし賛同者)として挙げられた5人の歴史家たちのなかには、フランス革命や文化史の研究で日でもよく知られたリン・ハントの名前があった。このホームページの内容に従えば、ニューロ・ヒストリー

    「ニューロ・ヒストリー」の講演と報告 - akihitosuzuki's diary
  • 「ニーダムの問い」-中国の科学技術の特徴と西欧に「追い抜かれた」理由 - akihitosuzuki's diary

    ジョゼフ・ニーダム『ニーダム・コレクション』牛山輝代編訳、山田慶兒・竹内廸也・内藤陽哉訳(東京:ちくま書房、2009) 生理学を学んだ後に中国科学史の研究者となり、『中国の科学と文明』という翻訳で全11巻の大著をものした偉大な科学史家、ジョセフ・ニーダムの論文集である。オリジナルは1970年に刊行、翻訳は1970年代半ばに『東と西の学者と工匠』というタイトルで二巻として翻訳されたが、その中から9つの論文を選択してちくまの文庫となったもの。 私は中国医学史については謙遜でも何でもなく、全く何も知らないに等しい。しかし、このグローバル化のもと、西欧の医学と中国の医学を対照させて考えたほうがいい。特に学部生向けの授業の時には、授業で丁寧に説明する内容はある地域や国に限定するにしても、「世界の他の部分ではどうだったのか」ということに言及して射程を広げたほうがいい。もちろんもちろん自分が学問的にカ

    「ニーダムの問い」-中国の科学技術の特徴と西欧に「追い抜かれた」理由 - akihitosuzuki's diary
  • Pathography という単語の英・独・仏の意味の違い - akihitosuzuki's diary

    “Pathography” について http://www.oed.com/view/Entry/138798 数日前のOED英単語は "pathography". この単語は全体としては「疾病を記述すること」という意味を持つが、各国語でかなり意味が違う厄介な単語である。ドイツ語の Pathographieと、おそらくそれを訳した「病跡学」という日語は、精神医学の一分野をさす。芸術や思想の天才の生涯と作品を精神医学の立場から分析して理解するものである。ドイツでは19世紀末の精神医学者のメービウスが天才についての精神医学的な分析をしており、クレッチマーなども同じ方向の作品を書いている。日におけるその学問の起源については、私は正確な知識を持たないが、いま市川市で展覧会が行われている式場隆三郎は、新潟医学校の博士論文でゴッホの分析を書き、後には「裸の大将」として有名な画家の山下清を後援してい

    Pathography という単語の英・独・仏の意味の違い - akihitosuzuki's diary
  • 反ワクチン運動と1970年代から80年代のアメリカの女性運動 - akihitosuzuki's diary

    Conis, Elena, A Mother's Responsibility: Women, Medicine, and the Rise of Contemporary Vaccine Skepticism in the United States, Bulletin of the History of Medicine87.3 (Fall 2013): 407-35. 子供にワクチンを接種するか否かという問いは、日も含めて現在の世界各地で大きな問題になっていて、この問題についての歴史研究を読みたいと思っていたところなので、とても役にたった。この論文は、1970年代から80年代のアメリカに焦点を当てて、特にフェミニズムと女性の運動の両者との関連で、ワクチン接種に反対する、あるいは警戒する立場の形成の複雑性を少なくとも部分的に明らかにした必読の論文である。 1982年にアメリカの放送局

    反ワクチン運動と1970年代から80年代のアメリカの女性運動 - akihitosuzuki's diary
  • 蜷川ハムレット@さいたま - akihitosuzuki's diary

  • 19世紀アメリカの精神病院の医者たちの最高権威はなぜシェイクスピアだったのか - akihitosuzuki's diary

    Reiss, Benjamin, Theatres of Madness: Insane Asylums and Nineteenth-Century American Culture (Chicago: The University of Chicago Press, 2008). 医療の社会史の中にも、社会科学の方法を取って患者の人口動態などを明らかにする手法もあるし、文化や文学など媒介にした社会史も存在する。この著作は、後者の部類に入る傑作の一つであり、必要があっていくつかの章を読み直す。 19世紀の中葉から後半のアメリカの精神医学者たちが、劇作家のシェイクスピアを非常に持ち上げて、シェイクスピアの作品から精神医学の優れた洞察を読み取るべきだと主張した理由について。同様のことはイギリスでも起きていて、その理由は医者たちのディレタンティズムや、医師たちが階層としての差異化を図ったためと

    19世紀アメリカの精神病院の医者たちの最高権威はなぜシェイクスピアだったのか - akihitosuzuki's diary
  • 明治の医学雑誌から - akihitosuzuki's diary

    前田久美江編著『現代医療の原典を探る―百年前の雑誌「医談」から』(京都:思文閣、2004) 『医談』は明治26年から41年にかけて刊行されていた雑誌。合計で115号が刊行され、1986年に3巻で復刻出版された。この復刻は古書で手に入るが高価であり、興味深い記事を選択して現代語訳した書物があったので喜んで読んだ。学問的な書物ではないけれども、大いに助かることは間違いない。 内容もいちいち興味深いものが多い。明治の医師たちの多くが、医学の体系と新しい技術と医療の仕組みの大転換を経験していたこと、その中で新しい問題に突き当たっては『医談』のような雑誌で議論しようとしていたこと、特に医師(と患者)の倫理的な態度に関する活発な議論があったことが分かる。この時期の医学は、明治政府が定めたドイツ医学に範をとる西洋医学化が着々と進展していたというイメージがあるが、医療の現場においては、事情ははるかに複雑

    明治の医学雑誌から - akihitosuzuki's diary
  • 17世紀末の内科医と薬剤師の風刺文学 - akihitosuzuki's diary

    サミュエル・ガース『薬局 17世紀末ロンドン医師薬剤師大戦争』西山徹編訳、高山修・服部典之・福宰之訳、岡照雄序(東京:音羽書房鶴見書店、2014) 17世紀から18世紀にかけてイギリスで活躍した内科医である Samuel Girth が書いた The Dispensary が翻訳されたので大喜びで読む。医療の許可制度についての重要な類型の成立と深く関連する資料だから、重要な背景として読んでおいたほうがいい。その類型は、18世紀の初頭に成立したもので、ロンドンの王立内科医協会と薬剤師のギルドの対立を背景として持ち、薬剤師たちが処方だけではなくて診療の権利を求めて内科医協会と激しく争い、最終的に1701年の「ローズの判例」が薬剤師たちに診療する権利を事実上認めることになる事例である。イギリスは、いわゆる三つの職業である内科医・外科医・薬剤師の伝統的な分業を、はっきりと描き直した制度が18世紀

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  • ループ効果についてメモ - akihitosuzuki's diary

    MacIntyre, Alasdair, “How psychology makes itself true-or false”, in Sigmund Koch and David E. Leary eds., A century of psychology as science (Washington: American Psychological Association, 1985), 897-903. ハッキングの「ループ効果」のインスピレーションの一つになった論文を読む。心理学が人間心理の記述であると同時に、人間に規範を与えるという趣旨の議論である。 心理学や精神医学は、その研究対象である人間や患者の心を記述するだけでなく、人々や患者が、そうなろうとするような規範を与える。研究対象の行動や症状を記述するだけでなく、新たな所作・演技の可能性を示唆するような脚でもある。患者はフロイ

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  • 『戦争責任研究』「戦争と心の傷」 - akihitosuzuki's diary

    蟻塚亮二「沖縄戦のトラウマによるストレス症候群」『戦争責任研究』(81), 2-11, 2013. 北村毅「沖縄戦における精神障がい者のスパイ視と虐殺」『戦争責任研究』(81), 12-21, 2013. 中村江里「日帝国陸軍と『戦争神経症』」『戦争責任研究』(81), 52-61, 2013. 藤野豊「熊における『ハンセン病患者骨格標』問題の検証」『戦争責任研究』(81), 12-21, 2013. 『戦争責任研究』が第81号で「戦争と心の傷」と題した特集を行っている。近現代日史の研究者が医学史の主題を中心的に取り上げたのは、明治期のコレラ、ハンセン病の歴史に続いて3回目である。医学史の研究者である私からみると、欧米の医学史家が第一次大戦・第二次大戦・ベトナム戦争などの戦争神経症の歴史研究をして深く洗練された数々の洞察を生み出してきたのだから、その分厚い研究の蓄積からもっと学ぶべ

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  • 服部伸編『「マニュアル」の社会史』(2014) - akihitosuzuki's diary

  • ペパン『エイズの起源』(みすず書房、2013) - akihitosuzuki's diary

    エイズの歴史を通じて20世紀の医療・疾病のグローバル・ヒストリーを描いた傑作。国際保健衛生学はもちろん、帝国主義と医学・疾病の歴史を中心に歴史学者たちにとっても必読の書物である。来年のセミナーの課題図書の一つにしよう。 大きな特徴は医者が書いた歴史であるということである。医者であるから、ウィルスの系統樹や「分子時計」と呼ばれるテクニックを用いて、HIVウィルスの分布や発生の場所とタイミングをかなりの程度特定する方法を持っていることである。このリサーチ・テクニックは、アメリカの医学史家ではペストで有名な中世史を筆頭に用いられ始め、これからの医学史研究が少なくとも協力者を見つけなければならない実験科学の方法である。もう一つが、歴史のリサーチ、特に疫学的にみて重要な部分が非常にしっかりしていることである。 歴史の視点としては以下の点が注目に値する。1) 人間と動物がつくる生態系の発想。もとと

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  • 科学とファンディングの境界で働く「基礎研究」という概念 - akihitosuzuki's diary

    Jane Calvert, “What’s Special about Basic Research?”, Science, Technology, & Human Values, vol.31, no.2 (March 2006), 199-220. 科学社会学者による「基礎研究」の概念の分析。現在のアメリカ・イギリスの物理学者と生命系の科学者(24人)と、科学政策の関係者(26人)にインタヴューして、「基礎研究」という概念の曖昧性・複数性・機能を分析したもの。科学者によっても政策関係者によっても「基礎研究」は、「実用研究」との対比の中で用いられ、科学とファンディングの境界面において、プレスティージとリソースを獲得するための概念として用いられている。基礎研究あるいは「純粋科学」とは何かという定義は共有されていないし、個人が異なった意味で用いることもある。もっとも頻繁に起きることは、実用へ

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