科学は全ての人の為のものなのか?それとも道徳的に正しい人の為のものなのか? カナダのコンコルディア大学の機械工学科の准教授だったヴァレリー・ファブリカントは、研究を巡って同僚と対立し、同僚4人を殺害した後、獄中から60本近い科学論文を発表した異色の研究者だ。 この一件は、科学者の研究内容を評価する際に、その行動や思想をも評価するべきか? という倫理的ジレンマを浮き彫りにする。 科学者がみな立派な人物であるに越したことはないが、必ずしもそうではない。では、そのことが彼らによる科学的発見を否定する正当な理由となるのだろうか? 優秀だが性格に難があった元大学准教授 ヴァレリー・ファブリカント(1940年生まれ、現在82歳)は、もともと旧ソ連(現ベラルーシ)の研究者だった。 ところが気難しく短気、破壊的な性格の為、多くの問題を起こし、職を解雇され、祖国にいられなり、カナダへと移住した。 1979年