敗戦を直視せず、米国に従属し、戦後日本は平和と繁栄を享受してきた。その時代が本当に終わりつつある。これまでの物語にしがみついて生きるのか。それともまだ見ぬ世界に踏み出すのか。社会思想・政治学者の白井聡さん(36)は、私たちの覚悟を問うている。 ■「終戦」の意味 戦後、日本人は敗戦を実感せずに生きてきた。もちろん1945年8月の段階では、そこら中が焼け野原で、負けは誰の目にも明らかでしたが、復興し、経済成長を遂げた。V字回復です。 70年代以降、戦勝国であるソ連や中国と比べて生活水準にはっきりと差が出て、どちらが敗戦国か分からなくなった。むしろ「負けてよかった」という意識を日本人は持ち続けてきたのではないでしょうか。 そのとき、日本の支配層が引いておいた「伏線」が見事に生きてきた。 8月15日は「敗戦の日」ではなく「終戦の日」です。なぜこの日か。連合国に対してポツダム宣言を受け入れ