(1)企業には、経済活動の一環としての契約締結の自由があり、自己の営業のためにどのような者をどのような条件で雇うかについては、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由に行うことができる。 (2)労基法3条は、労働者の国籍、信条(宗教的信仰のみならず、人生や政治に関する考え方)又は社会的身分(生来的な身分だけでなく、後発的理由によるものであっても自らの意思で左右できない固定的な地位も含む)を理由とする労働条件の差別的取扱いを禁止しているが、これは、雇入れ後、すなわち、従業員になってからの労働条件の差別的取扱いを禁止する規定であって、労働者の雇入れそのものにおける労働条件の差別的取扱いを規制する規定ではない。 (3)判例法理は、以上のように企業の広い採用の自由を認めているが、近年、立法、行政指導等により企業の採用の自由は制約される傾向にある。 2 モデル裁判例 三菱樹脂事件 最大判