職員に見送られる中、官邸を去る菅義偉前首相(中央) =10月4日午後0時34分、首相官邸(寺河内美奈撮影) 菅義偉(すが・よしひで)内閣は1年余りの短命政権で終わった。多くの国民の期待を受けて発足したものの、新型コロナウイルス対応への批判が命取りになった。 コロナに明け暮れた感がある菅政権だが、発足当初に直面した課題は、日本学術会議の会員任命問題をめぐる野党などの追及だった。国民生活と縁遠い問題の争点化は広がりに欠け、追及をいなして初の国会を乗り切った菅氏は自信を深めていたように見えた。携帯電話料金の値下げなど「国民のために働く」政権として成果を上げつつあることへの自負も感じられた。 ただ振り返ると、この成功体験が慢心につながった印象は否めない。昨年末のコロナ第3波では、肝いりの「Go To トラベル」事業の全面停止の判断が遅れた。専門家に迫られて小出し的に事業見直しを繰り返し、いかにも不