【ローマ=杉本康士】イタリアを訪問中の岸田文雄首相は4日午前(日本時間同日午後)、ローマ教皇フランシスコとバチカンの教皇宮殿で会談した。首相と教皇は「核兵器のない世界」の実現や人権擁護などを重視するパートナーとして、人類共通の諸課題に対処するため協力を進めることで一致した。 日本の首相がバチカンで教皇と会談するのは2014年6月以来約8年ぶり。政府関係者によると、今回の会談は首相の強い意向で実現したという。 首相は会談で、教皇が19年に被爆地の広島市と長崎市で行った「核兵器のない世界」実現を訴えた演説について「日本国民の心に深く刻まれた」と謝意を表明。その上で「被爆地・広島出身の首相として『核兵器のない世界』に向けバチカンと協力したい」と述べた。 首相と教皇はロシアのウクライナ侵攻について「無辜(むこ)の民間人の殺害を非難するとともに、非道な侵略を終わらせ、平和を取り戻す」との決意で一致。