「食う寝るところに住むところ」といえば、落語『寿限無』も使われる人間の幸せな生活に必要なもののひとつ。何十年もかけて返済する住宅ローンを組んででも、住むところを確保したいものなのだろう。新型コロナウイルスの感染拡大が報じられ始めた春には、住宅ローンの返済猶予に金融機関も柔軟に対応するとあわせて知らされたものだ。それで一時的にしのぐことはできたようだが、夏までは持ちこたえていた人たちも「住むところ」を失いかねない状況へと追い込まれている。ライターの森鷹久氏が、終の棲家だと決意して手に入れた住宅に振り回される人たちについてレポートする。 * * * 全国で1日の感染者数が2000人を超え、いよいよコロナウイルス「第3波」が日本列島を襲っている。夏から秋にかけて収束に向かっているかとも思えていただけに、ショックを受けていると言う人も少なくないだろう。「3波」を受けて、大きな決断をせざるを得なくな