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青春小説に関するm25moriのブックマーク (36)

  • 無欲でドライな交友領域 | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) “万人から好かれたい”なんて思わなければ、人づき合いは案外気楽なものだ。 “愛されたい”とどんなに願ったところで、“嫌われるのが怖い”とどんなに怯えたところで、他人の心は俺の自由にならない。 だったら俺の手の届く、それなり(・・・・)の交友関係で満足しておけば、無駄に傷つくこともない。 来る者拒まず、去る者追わず――成り行きに任せて流されるままに生きる。 きっと今の時代を生きるには、それが一番コスパが良い。 俺は自分の友人に、多くのものを求めない。 いつでも味方でいて欲しいだとか、常に俺を 肯定(こうてい)して欲しいだとか、俺の言動に期待通りの 反応(リアクション)を返して欲しいだとか、俺のことを理解して欲しいだとか――そ

  • そつ無く生きられても、空しいばかりなんて

    周りが「今日のテスト最悪だった」と言うなら、私も「全然ダメだった」と返す。 周りが「炊飯器(すいはんき)でケーキ作ると楽しいよ」と言うなら、私も「今度やってみるね」と言う。 当は、それほどテストが駄目(ダメ)だったわけでもないし、お菓子(かし)作りなんて調理実習以外でやったこともない。 だけど、大切なのは“合わせること”で、“自分を出すこと”じゃないんだ。 出来過(できす)ぎて鼻につくと思われないよう、出来なさ過ぎて馬鹿(ばか)にされないよう、小器用に、巧(うま)く立ち回る。 ずっと、そうやって生きてきた。 たぶん私は、場の空気に敏感(びんかん)なのだと思う。 会話のキャッチボールで次にどんな言葉を投げ返せば良いのか、どんな反応(リアクション)が求められているのか、何となく分かる。 だから、その通りの言動(げんどう)を採(と)る。 実際、周りの感触(かんしょく)は悪くない。 今のところ嫌

    そつ無く生きられても、空しいばかりなんて
  • そつ無く生きられない僕は、空気になりたいと希う | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) 僕はどうやら、生きているだけで他人を苛(いら)つかせてしまうらしい。 その場に居るだけで、他人を不快にさせてしまうらしい。 だったら、誰の目にも映らない“空気”になれたら良いのに、と思う。 存在が消えるわけではなく、ただ誰からも認識されなくなる、透明な気体に。 誰からも 疎(うと)まれず、そこに居ることすら気づかれない、ただその場に漂うだけの“空気”に……。 以前から薄々、気がついてはいた。 僕は普通の人よりだいぶ、要領が悪い。雑な言い方をすれば、 鈍臭(どんくさ)い。 他の人間ならそつ無くスムーズに 熟(こな)せることに、何故だか妙にモタついてしまう。 小学生の頃は、大縄跳びの中に入るのが苦手だった。 タイミングが 掴(

  • 何にも知らない世界で出逢った、私の友だち

    物心ついたばかりの頃(ころ)のことを、覚(おぼ)えている。 まだ世界のほとんどを知らなくて、何もかもが物珍(ものめずら)しかった頃のことを。 蜘蛛(くも)の巣に光る水晶のような朝露(あさつゆ)や、シャボン玉の膜(まく)の虹色マーブルの揺(ゆ)らめきにさえ、いちいち心騒(さわ)いで、ときめいていた頃のことを。 あの頃は「楽しい」や「おもしろい」のハードルが、驚(おどろ)くほどに低かった。 ほんの些細(ささい)なことが楽しくて、おもしろくて、ずっと飽(あ)きずに遊んでいられた。 まるで今(・)とは、世界からして違(ちが)うみたいに。 私があの子と出逢(であ)ったのは、そんな、美しくて素晴らしくて――二度と戻れない世界の中だった。 いつ、どうやって出逢ったのか、最初のはじまりは覚えていない。 気づけばそばにいて、当たり前のように一緒(いっしょ)に遊んでいた。 あの頃は、友達のハードルも恐(おそ)

    何にも知らない世界で出逢った、私の友だち
  • 正解探しの怖がり鸚哥 | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) 私の父は、厳しい人だった。 間違ったことを決して許さない、四角四面な“掟の神”。 いつでも絶対の“正解”を持っていて、私が“不正解”な言動をすると、すぐ叱責された。 間違ったことをする私は、人間として正しくないのだと、人格や存在を否定された。 私は父を恐れていた。 いつも父の顔色を窺(うかが)って、ビクビク生きてきた。 出すべき答えは、 世の中にとって(・・・・・・・)の正解ではない。 父にとって(・・・・・)の正解だ。 世間的には合っていそうな答えでも、父にとって正解とは限らない。 正解を選べないと、父は機嫌を悪くする。 世の流行のアレは嫌いでコレは好き、物の考え方・感じ方、事の順番、後片付けのやり方、勉強の優先順位…

  • ないものねだりの強がり狼 | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) それは、高校卒業を間近に控えた、ある放課後のことだった。 たまたま、あるクラスメイトと、教室に二人きりになった。 それまで、ほとんど話したこともない相手だ。 だけどその時は何となく、どちらからともなく会話を始めていた。 あと少しすれば、もう毎日顔を合わせることもなくなる。 そんな、しんみりとした感傷が、お互い、胸の底に湧いたのかも知れない。 「当は、ずっと話してみたかったんだ」 彼女は、そう言った。 まるで、憧れの相手に気後(きおく)れして、話しかけられなかったとでも言うように。 「いつも、すごいな……って、思って見てたんだ」 彼女は、私を 褒(ほ)めちぎる。 自分の道を貫く、クールなところが格好良い。 早いうちから目標

  • 人生の果てるまでを看ている。

    人生の果ての、崖(がけ)っぷちを歩いているような気が、ずっとしている。 世界が暗い夕闇の中、閉ざされているような気が、ずっとしている。 この先、もう何処(どこ)へも行けない、行き止まりの人生――そんな気が。 祖父の病気が分かって以来、ずっとだ。 祖父の病は、治(なお)ることがない。 進行を遅(おく)らせることはできても、完治(かんち)することの無い病。 高齢で体力が心配だからと、手術もやんわり拒否されるような、そんな状態だ。 長い入院を終えて帰って来ても、筋肉の衰(おとろ)えきった祖父に、以前のような生活はもう出来(でき)ない。 一日中、ベッドに縛(しば)りつけられたように、寝たきりの日々。 生きるために、人の手を借りなくてはどうにもならない身体(からだ)。 そして、俺たちの生活もまた、祖父の退院とともに一変してしまった。 一番広くて居心地(いごこち)の良かった居間には、介護用のベッドが運

    人生の果てるまでを看ている。
  • 花咲く話の種を探して、私は今日も言の葉を「はなつ」

    この国では、人の口から発せられる“意味ある音”を、植物になぞらえる。 言(こと)“葉(ば)”。話の“種”。話の“接(つ)ぎ穂(ほ)”。話に“花が咲く”。 昔の人たちは、何を想って、この名付けをしたのだろう。 人の口から放たれた“言(こと)”が、視(み)えざる葉になって空(くう)に繁(しげ)り、他の人のそれと重なり合って、花を咲かせる――そんな空想(ゆめ)でも、視ていたのだろうか。 私も時折、そんな妄想に浸(ひた)る。 私の唇(くちびる)から零(こぼ)れた葉っぱが、蔓(つる)を伸ばし、さらなる葉を繁(しげ)らせ、花束(はなたば)のように、たくさんの花を咲かせる――そんな幻を、夢見る。 実を言うと、おしゃべりは少し苦手だ。 自分の言葉に、自信が持てない。 私には、皆を笑わせるような面白い話はできない。気の利(き)いた話題は出せない。 いつも、皆の輪の中で、誰かに話を振(ふ)られるのを待っている

    花咲く話の種を探して、私は今日も言の葉を「はなつ」
  • 電車で5分、日常からのプチ逃避行

    夢を見た。 学校へと向かう、いつもの電車の中。 既(すで)に眠りの中だと言うのに、なぜか夢の中でも眠り込んでしまっていた。 気づけば、いつもの駅を乗り過ごし、夢の中でハッと目を覚(さ)ました。 見渡すと、そこは見知らぬ山の中だった。そして、一面が紅葉の絶景だった。 動画や写真の中でしか見たことのない――否(いな)、それ以上に極上で、胸に迫(せま)る、圧倒的な秋色の稜線(りょうせん)。鮮(あざ)やかな、朱(あけ)と黄金(こがね)のモザイク模様(もよう)。 電車の窓という窓が、その景色で埋(う)め尽(つ)くされていた。 電車がレールを進むたび、朱金(しゅきん)の木々が、わずかに角度を変えながら、横に流れていく。 硝子(がらす)一枚隔(へだ)てた向こうは、色鮮やかな紅葉黄葉(こうようこうよう)の洪水(こうずい)。 まるで、絢爛豪華(けんらんごうか)な万華鏡(まんげきょう)の中を、電車の速度でくぐ

    電車で5分、日常からのプチ逃避行
  • 世界を広げる「他視点」と「多視点」|津籠睦月

    青春SSオムニバス集「青過ぎる思春期の断片(青春断片)」は「学生時代の自分に読ませてあげたい物語」がコンセプトなのですが… そんな学生時代、自分が実際に読みたい・知りたいと思っていたのが「自分ならぬ他人の思考」「多角的な物の見方」でした。 思春期というものは、多かれ少なかれ「生きづらさ」に悩み苦しむものだと思うのですが… 自分はそんな「生きづらさ」「苦しさ」を「自分が世界を知らないせい」だと思っていました。 世間知らずで物知らずで、自分の殻に引きこもっているせいで、上手くいかない――「正解」の言動が選べず、間違った選択ばかりしてしまうのだと…。 そして「もっと世界を知ることができれば、こんなに悩んだり苦しんだりしなくて済む」と思っていました。 具体的には「自分とは違う『他人』の物の考え方」を「できるだけ多く」知ることができれば、「正解」を選べる確率が上がるのではないかと…そんな分析をしてい

    世界を広げる「他視点」と「多視点」|津籠睦月
  • 時代についていけない私は、ダメな子ですか?

    両親が共働きで忙(いそが)しかった私は、幼い頃(ころ)、よく祖父母の家に預(あず)けられた。 自分の家とはまるで違(ちが)うあの家が、私は大好きだった。 昭和に建てられた木造家屋(もくぞうかおく)は、古くて、そんなに広くはない。 けれど、その古めかしさが、何だか別の世界に迷い込んだ気分で、好きだった。 紅葉(もみじ)の模様(もよう)が入った磨硝子(すりガラス)。 玉石(たまいし)を敷(し)きつめたような、風呂場のタイル。 花柄(はながら)のホーロー鍋(なべ)。 家具も皆(みな)、古い木の色と艶(つや)があって、どっしりした存在感がある。 あの家の、あの空気感が好きだった。 そして、あの家の中に流れる、ゆったりとした“時間”が好きだった。 共働きの両親は、いつも時間に追われていた。 新しくて綺麗(きれい)だけど、綺麗過ぎて、逆に人間味(にんげんみ)を感じない家の中で、いつもバタバタ、ピリピリ

    時代についていけない私は、ダメな子ですか?
  • この世界に魅力を感じない俺に、進路の選び方を教えてくれ | 言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜

    JUGEMテーマ:青春(ヤングアダルト)小説 (このシリーズは「小説家になろう」さんにも同じ内容のものを投稿しています。小説家になろう版はブログ版よりもルビ多めです。) 思えば俺の憧れてきたものは、どれもこれも、この世界には存在しないものばかりだ。 ヒーロー、人型ロボットのパイロット、モンスター使い、大賢者……。 憧れてもどうにもならないものにばかり、夢中になってきた。 物語世界の職業に比べたら、現実世界の職業は、どれもこれもぱっとしない。 むしろ、ネガティブなイメージしかない。 過労、社畜、ブラック企業……世間に溢れるワードからは、嫌な未来しか想像できない。 こんな絶望的な社会の中で“なりたい(・・・・)職業”も何も無いものだ。 バイト面接の履歴書を書いた時、“志望動機”という欄で、一度手が止まった。 結局、「バイトの目的に、そんな高尚な理由なんてあるわけないだろう」と、正直に「趣味に使

    m25mori
    m25mori 2022/07/01
    青春SS「この世界に魅力を感じない俺に、進路の選び方を教えてくれ」
  • この世界に魅力を感じない俺に、進路の選び方を教えてくれ

    思えば俺の憧(あこが)れてきたものは、どれもこれも、この世界には存在しないものばかりだ。 ヒーロー、人型ロボットのパイロット、モンスター使い、大賢者……。 憧れてもどうにもならないものにばかり、夢中になってきた。 物語世界の職業に比べたら、現実世界の職業は、どれもこれもぱっとしない。 むしろ、ネガティブなイメージしかない。 過労、社畜、ブラック企業……世間に溢(あふ)れるワードからは、嫌な未来しか想像できない。 こんな絶望的な社会の中で“なりたい(・・・・)職業”も何も無いものだ。 バイト面接の履歴書を書いた時、“志望動機”という欄(らん)で、一度手が止まった。 結局、「バイトの目的に、そんな高尚(こうしょう)な理由なんてあるわけないだろう」と、正直に「趣味に使う金が欲しいため」と書いた。 特にそれを指摘されることもなく、面接は無事に通ったが……バイトならともかく、就職活動という“番”で

    この世界に魅力を感じない俺に、進路の選び方を教えてくれ
  • 心の中で母を棄て去る

    あの女(ひと)のことを、もう母親だとは思わない。 やっと、心の中で見切りがつけられた。 今まで、ずっと苦しかった。 よその母親が羨(うらや)ましくて、苦しかった。「私のお母さんは、何でこうなんだろう」と、恨(うら)めしくて、苦しかった。 そして、そんな風に思うたび、罪悪感がチクチク胸を刺した。 「親の心子知らず」だとか「親の苦労」だとか「育ててもらった恩」だとか聞くと、そんな風に思うこと自体、悪いことなんじゃないかと思えてしまう。 ……だけど、やっぱり何かが違う。 子どもは、親のすること、言うことを、何もかも我慢(がまん)して受け入れなきゃいけないの? 育ててもらっているうちは、文句(もんく)も言わずに耐(た)えなきゃいけないの? ……だとしたら、絶交するわけにもいかない分、友達よりもタチが悪い。 あの女(ひと)のしてきたことは、人によっては「些細(ささい)なこと」と言われてしまうのかも知

    心の中で母を棄て去る
  • 作品検索 | 小説を読もう!

    m25mori
    m25mori 2022/04/09
    「純文学×短編×青春」での検索結果一覧(小説家になろうさんは「タグ」ではなく「キーワード」のため、関連度の低いものも検索結果に出る可能性があります。)
  • あの日の私の跡をなぞれば

    今時、SNSでもアプリでもなく、紙の日記をつけるのが好きだなんて、変わった子だと思われてしまうかな。 自分でも、こんな趣味を持つことになるなんて、思っていなかった。 だけど、これはもう、私にとって、無くてはならない行為。 私の人生にとって重大な意味を持つ――私が“私”を忘れないための、大切な金石文(きんせきぶん)だ。 きっかけは、他愛(たわい)もないことだった。 雑貨屋さんで、とても綺麗な筆記帳(ノート)を見つけた。 西洋貴族の城の書庫(しょこ)に眠る古い時代の書物(しょもつ)のような、美しい装飾模様(そうしょくもよう)のついた、ハードカバーの筆記帳(ノート)。 ちょっと高かったけれど、一目惚(ひとめぼ)れして思わず買ってしまった。 しばらくは机の上に置いて、時々手に取ってはにやけていたけれど、白紙のままにしておくのも、お金が勿体(もったい)ない気がして、日記帳として使うことにした。 毎日

    あの日の私の跡をなぞれば
  • あの頃の景色が消えていく

    数ヶ月ぶりに帰省(きせい)したら、地元の駅に自動改札ができていた。 古くさいばかりの田舎の駅が、急に近代化したようで、違和感ばかりを強く覚えた。 駅前にあったコンビニは、いつの間にか潰(つぶ)れていた。 駅前なのに潰れるなんて、さすがは田舎だな、と変な納得(なっとく)の仕方をしながら、迎えの車に乗り込んだ。 時間が止まったかのような、変化の乏(とぼ)しい地方の町でも、数ヶ月離れているだけで、いろいろとあるものだ。 大学に進学するため地元を離れて、もう二年が経(た)とうとしている。 長期休暇も、バイトだサークルの合宿だで何かと忙しく、実家には数えるほどしか帰っていない。 たまの帰郷は片道時間からして長くて、ちょっとした旅行気分だ。 大学に入ってすぐの頃は、周りの景色に慣れなくて、疎外(アウェー)感が強かった。 まるで自分が、場違いな“異物”のようで、あの街に馴染(なじ)める気が、まるでしなか

    あの頃の景色が消えていく
  • あの青春が私のものじゃなくても

    東京に来れば、何かが変わると思っていた。 マンガやドラマの中にあるような、キラキラした青春と出逢えるんじゃないかって……そんな淡(あわ)い希望を持っていた。 だけど、思い知った。 あのキラキラした青春は、誰もが手に入れられるものじゃない。 少なくとも、私が手に入れられるものではなかった。 青春するには、お金がかかる。ある程度(ていど)の自由な時間が要(い)る。 そして私のお金と時間は、気づけばいつもなくなっている。 ……一人暮らしが、こんなに大変で、忙(いそが)しくて、ギリギリなものだなんて、あの頃(ころ)は全然、思ってなかった。 東京に来て、まず困ったのが、服を買う場所だった。 地元から持ってきた服は、何だかキャンパスの中で浮いている気がして、入学してすぐの頃は、妙に人目が気になった。 だけど、百貨店や駅ビルの中みたいな“分かりやすい服屋”の服は、予算より五千円以上は高い。それどころか、

    あの青春が私のものじゃなくても
  • 繊細な心が邪魔をする

    傷つかなくて良いことに、ずっと傷ついてきた。 大事なものを、読み違えていることにも気づかずに。 自分が周りと違うこと、他の人間と何かがズレていることを、ずっと嫌悪(けんお)し、引け目に感じてきた。 同じ世界を視(み)ているはずなのに、僕だけ違う言動(げんどう)、異(こと)なる反応をしてしまうのは、自分が劣(おと)っている所為(せい)だと信じていた。 だが、そもそも根からして間違(まちが)っていた。 この世界に、“同じ”世界を視(み)ている人間など、唯(ただ)の一人も存在しない。 同じ世界を生きていても、心に映る世界は、皆(みな)違う。 僕たちは、誰とも世界を共有できていない。 ――そのことに、僕はようやく、気がつき始めた。 以前から不思議に思っていた。 相手の嫌がることを、平気で言ったり、したりする人間がいることに。 相手の置かれた状況を見ず、自分の都合(つごう)だけでズカズカ“邪魔”を

    繊細な心が邪魔をする
  • シンデレラの報われない時代に、私は何を頑張れば

    おとぎ話の中では、断然『シンデレラ』が好きだった。 ひとりで苦労して頑張(がんば)ってきた子が、報(むく)われてプリンセスになる――こんなに、人の苦労や頑張りを救ってくれる物語はない。 シンデレラへの憧(あこが)れは、私の性格や生き方にも影響(えいきょう)を与えた。 頑張ることは、美しいこと。頑張っていれば、いつか誰かが認(みと)めてくれて、シンデレラにしてくれる――そんなことを信じて、生きてきた。 だけど、そんなの嘘(うそ)だった。 この世界には、灰かぶり(シンデレラ)を見つけてくれる“魔法使い”なんて、いない。 私の頑張(がんば)りを見ていてくれる人なんて、どこにもいない。 家族ですら、認めてくれるのは結果の出た時だけ。 結果を出せずに終わった私の頑張りは、無かったもののように無視される。 結果を出せなくても、楽しいことを我慢(がまん)して、たくさんの時間を使って、辛(つら)いことと向

    シンデレラの報われない時代に、私は何を頑張れば