改正臓器移植法 今年7月の「改正臓器移植法」により、たとえ本人の臓器提供についての書面による明確な意思表示がなくても、家族の同意さえあれば臓器の提供が可能になった。この原稿を書いている9月初旬の段階では、その8例目が報じられている。 まだ8例目というよりも、もうそこまで実行されたのか、というのが私の率直な感想である。今後、さらにその件数は増大し、いつかは、こうして新聞紙面にそれなりのスペースを割いて報じられることもなくなるかもしれない。とはいえ、医療技術の進歩によって救済される領域が拡大することをよしとしながらも、このような急展開に対してなんらかの違和感をおぼえる。それは、たぶん私だけのことではないはずだ。 西洋医学の歴史では、かつて解剖をめぐって同じように悩ましい問題がおきていた。臓器移植の問題を考えるうえで、なにかの参考になるかもしれない。 解体新書 解剖が近代医学の発展に大きく寄与し