テレビ視聴習慣のある人は、方言をよく使用する。 この仮説が社会調査を実施すれば有意性を持って支持されることは、関係者の間で広く知られている。また、この仮説が、正気な論文において、著されることは、ない。 なぜか。 まともな論文では、相関と因果を区別するからである。 若者は、高齢者に比べれば、方言でしゃべることはどうしても少ないし、また、今時、若者はテレビなんか見ない。高齢者は、これに対して逆に、方言をよく使うし、テレビに接する時間は若者よりも長い。 だからといって、テレビをより長く見ていることが原因となって、その結果として、方言をより使用することになる、という学説を本気になって唱える人が、どこにいるだろうか。 それゆえ、残念なことに、筆者が上に書いたことを証拠付けるために参照すべき文献を紹介することもできない。 ところが、一見、頭のよさそうな脳科学の世界では、頭の悪いことが起きているようだ。