万引被害を防ぐため、犯人とみられる画像を公開することは許されるのか。今月、各地の小売店が「万引犯」として防犯カメラ画像を公開していたことが相次いで判明した。専門家は名誉毀損(きそん)や人権侵害に当たると指摘する一方、薄利多売の傾向が強い業界の「苦肉の策」として心情的に理解できる側面もある。万引は警察に届け出があったものだけで年間11万件にも上る。それも氷山の一角とみられ、業界では常習犯の「ブラックリスト」をつくる動きまで出てきた。 ■「死活問題だ」 「個人的には言いたいことは山ほどあるが、今は何も話せない」 今月上旬、万引犯とみられる人物の画像を店内に張り出していたことが明らかになった神戸市中央区の「セブン-イレブン」の店舗。画像を公開した意図について、男性店長はこう繰り返した。画像は顔をぼかす処理をしておらず、万引犯であることを示唆するように「全て見てますよ」と注釈を付けていた。