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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (20)

  • AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』 AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな。まあご覧あれ。 Botnik Studios こいつを見て、あまりに感動してしまいました。この支離滅裂、異常な構想力、唐突な破綻ぶり。デスイーターたちが何だか知らないけど無意味にやおいらしきものを始めるところ。人工知能には創造性がないとかいっている連中がいるけれど、これでも、あるいはアルファゼロの囲碁でもそうだけれど、むしろ人工知能が明らかにしているのは、ぼくたち人間の知能や創造性と称するものがいかに制約されていて、型にはまっているかということだと思う。ウィリアム・バロウズが人間の矮小な構成力とキャパシティでほんの片鱗だけやってみせたことを、人工知能は鼻くそほじりながら(比喩的に)一瞬でやってのけている。 追記:このプロセスについてもう少し詳しく見た人がいる。これは当にほぼカットアップ

    AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話&日本の教育はゴミクズらしいぞ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Science 読んでたら、経済成長と教育の関係についての論文が出てたのでちょっと紹介。 Knowledge capital, growth, and the East Asian miracle Eric A. Hanushek, Ludger Woessmann, Science 22 Jan 2016: Vol. 351, Issue 6271, pp. 344-345 DOI: 10.1126/science.aad7796 http://science.sciencemag.org/content/351/6271/344.full 経済成長のためには国民に教育うけさせて人的資の質を上げないとダメだよねー、というのはもう言われすぎていてあたりまえの話になってるんだけど、でも一方で、同じ年数だけ学校に通ってるのに、東アジアは奇跡の大成長で、南米諸国はかなり出来が悪い。他のところで

    学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話&日本の教育はゴミクズらしいぞ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 反知性主義3 Part 1: 内田編『日本の反知性主義』は編者のオレ様節が痛々しく浮いた、よじれた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    しばらく間が空いた。で、反知性主義についての簡単なお勉強を経て、ぼくが手に取ったのは『日の反知性主義』だった。 このの題名は、明らかに『アメリカの反知性主義』を意識しているようだ。その一方で、この面子を見ると、ぼくが冒頭に挙げた『現代思想』の執筆者と重なるようであり、「反知性主義」を「バーカ」の意味で使う連中の集団のようにも思える。で、どうなのよ? それがぼくの興味だった。が、その前に…… 「反知性主義」をちがう意味で使ってはいけないの? まず、そもそも「反知性主義」を「バーカ」の意味で使ってはいかんのか? ぼくはそうは思っていない。ぜんぜん構わないと思う。ただ、その場合にはホフスタッターとかを引き合いに出してはいけない。まるで意味がちがうからだ。 なぜか? ホフスタッターのは、名著とはいえ決してだれでも知っているメジャーなではない。ぼくはたまたま、漠然とホフスタッター的な意味合い

    反知性主義3 Part 1: 内田編『日本の反知性主義』は編者のオレ様節が痛々しく浮いた、よじれた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ボードロ&エスタブレ『豊かさのなかの自殺』:うーん、いろいろ要因が複雑ってことはわかったが…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    豊かさのなかの自殺 作者: クリスチャン・ボードロ,ロジェ・エスタブレ,山下雅之,都村聞人,石井素子出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2012/06/25メディア: 単行購入: 2人 クリック: 116回この商品を含むブログを見る 社会学の創始者の一人デュルケムは、19世紀に自殺の研究をして、貧乏人のほうが自殺が少なく、これは社会的なつながりが貧乏人のほうが強いため、という結論を出したそうな(恥ずかしながら、デュルケム読んでない……)。で、書はいろんな条件を元に世界各国の自殺を調べ、いまではそんなことはなくて、貧乏人のほうが自殺多いよ、という。なるほど。 が、いろいろおもしろい。まず、国別に見ると、一人あたりGDPが高い国ほど自殺率は高い。そして旧ソ連東欧圏は、なんだか知らないが他の国とはまったく別の異様な突出ぶりを示して、ちょっとでも豊かになると倍々ゲームみたいに恐ろしいほど自殺

    ボードロ&エスタブレ『豊かさのなかの自殺』:うーん、いろいろ要因が複雑ってことはわかったが…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はじめに 反知性主義をめぐるを3冊読んだので、その話をちょっと書こう。なぜそんなものを読もうと思ったかというと、『現代思想』の「反知性主義特集」に対するアマゾンのレビューがぼくのツイッターでちょっと話題になっていたからだ。 「彼らは反知性主義だ」と規定する知性は知性主義的なのか? ぼくはこの特集を読んでいないし、読むつもりもない。が、このレビューの主張はよくわかると同時に、この特集のスタンスについて疑問が湧いてきた。 というのも、このレビューを信じるなら、この特集での「反知性主義」というのは、「自分とちがう考え」のことらしく(たとえば原発推進とか安部政権評価とか)、そしてそれを「反知性主義」と呼ぶのは、要するに「バーカ」というのをご立派に言い換えているだけらしいからだ。 さて、まずぼくはこの手の言い換えが嫌いだ。ぼくはしばしば、バカをバカとはっきり言うので、性格が悪いとか下品とか言われる

    反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    maangie
    maangie 2015/08/21
    ゲーデル・エッシャー・バ……人違いか。
  • EC『ユーロ/EMUの完成に向けて』:EU 上層部ってなんかクスリでもやってるのか? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    2015年6月22日。ギリシャはデフォルト寸前。2010年、2012年に続いてまたもや(いやこれまで以上の)大規模な救済は何らかの形で不可欠で、あとはそれがどういう形で起こるかというだけの話(ドイツ政府はそれすら理解していない様子だが)。これまでトロイカに言われるままに改革と緊縮を進めてきたけれど、それは何一つ成果を挙げず、GDPは下がり、失業は増える一方。それでもさらに改革と緊縮やれ、とトロイカは言うけど、その改革で何が実現されるのかだれも知らない——いや、これまで以上に何も実現されないだろうというのをみんな知っている、というのが正しいところ。 この危機の原因については各種論争がある。でも: ユーロの構造がその原因の(少なくとも)一つであること 原因かどうかにかかわらず、現在のユーロの仕組みも制度もこの問題を解決できていないこと 話はギリシャだけではないので、場当たり的な対応やXX人が怠

    EC『ユーロ/EMUの完成に向けて』:EU 上層部ってなんかクスリでもやってるのか? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • エンゲルス「イギリスの労働階級」終わった! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ちょっと気が向いて、若き日のエンゲルスのルポを訳しはじめたのが1年ほど前だったけど、ぼちぼちやってるうちに終わりました。 エンゲルス自身が若書きだと言っているので、若々しくしてみた。産業革命の成果にものすごく興奮しつつ、一方で労働者のひどい状況を実地に見て当に怒っているのがよくわかる、たいへんにおもしろい文章。エンゲルスは理論家としてはアレながらイデオローグとして優秀だったらしいけれど、ルポライターとしてもお見事、というのは訳し終わってもやはり思うね。 イギリスにおける労働階級の状態 (pdf 682kb) e-pub版はこちらできちんとしたものを作ってくれました〜 densabi.hatenablog.com 産業革命の成果に対する興奮は伝わってくるし、また当時のスラムの惨状は匂ってくるような迫真の描写。すごい。これを読んで「いまの日も同じだ、労働者は虐げられている!」といった感想を

    エンゲルス「イギリスの労働階級」終わった! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    maangie
    maangie 2015/06/20
    「物理的条件が改善されたのであれば、なぜそれがよくないのか? エンゲルスはそれをまったく説明できていない。すでにマルクスのイデオロギーにからめとられた状態になっているのがよくわかって」。ぶこめも
  • 椹木『アウトサイダーアート入門』:いまさら何さわいでんの? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    アウトサイダー・アート入門 (幻冬舎新書) 作者:椹木 野衣幻冬舎Amazon まともなエスタブリッシュメントのオゲージュツカのアートに対して、キチガイや犯罪者が作ってしまった体制の外のアートがあるのだ、そういうのに注目してエスタブリッシュメントに対してそれをつきつけねばならない、という。 何騒いでんの、という感じ。 キチガイや犯罪者の作る作品があれこれもてはやされるって、昔からの話じゃないの? 耳切り落としたヤツとか、死刑囚で小説書いてほめられたやつとか、「狂気のナントカ」って昔から迫力ある芸術を誉める十八番の言い回しだし。 だから、アウトサイダー・アートなるものが存在し、そこに何か対立構造があって、という発想自体が今さらで古くさい。というか、世間的な評価はむしろ逆で、その「アウトサイダー・アート」的なものを昔から積極的にもてはやす風潮さえある。クスリやってましたとか、ゲイでしたとか、

    椹木『アウトサイダーアート入門』:いまさら何さわいでんの? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    maangie
    maangie 2015/04/27
  • ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティがらみの話で、そろそろデータを見た人が反論を始めている。そして、日の状況はちがう、日はまれに見る平等社会、日は格差が開いていないどころかかえって狭まっている、よってピケティなんかダメ、という議論をしている。 さて、ピケティを盲信して格差、格差、この世の終わりだ資主義の宿痾だ革命だマルクス様の復活だついでにアベノミクス許さんとさわぐのはたいへん愚かで恥ずかしいことなので、やめていただきたいところ。金持ち儲かるんだろ、知ってたぜ、常識だフン、どうせオレたち貧乏人はいくら頑張ってもダメなのよ、ついでにアベノミクス許さん、とかいった間抜けな発言は、ツイッターくらいにとどめておいてほしい。 その意味

    ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
  • ピケティあんちょこ、あげよう。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る 某所のために作ったピケティあんちょこ、みんなにもあげよう。そこらの解説より詳しいよ。いずれこれをベースに書いてもいいけど、まずはこれで。読書会とかしてる人々はご活用ください。 ピケティ『21世紀の資』訳者解説 v.1.1 (pdf, 686kb) ピケティ『21世紀の資』訳者解説 v.1.1 印刷用 (pdf, 624kb) ちょっと加筆してバージョンアップしました。あと、印刷用バージョンも作った。トナーが節約できます。(02.02) 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承

    ピケティあんちょこ、あげよう。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ピケティFAQ:いろんなところで出てくる話のまとめ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティについて、訳者としていろんなところで話をきかれるんだが、だいたい出てくる話は同じ。ツイッターとかで、ピケティに仮託してあれこれ言う人たちの言うことも似たり寄ったり。その一方で、当に重要とか鋭いとか思われる質問をする人はあまりいない。 そんなことで、とりあえずFAQをまとめました。長いなので、部分的に取り出せばどんな意見でも裏付けは出てくるだろう。でも常に全体の文脈や、話全体の文脈は理解してものを言いたいものです。ピケティのあのは、「理屈はどうあれデータ見たらこうなってるんです」というのが最大の強みでもあり、それが一方で部分的な弱みにもつながっている。一方で、あのの記述がピケティの見解のす

    ピケティFAQ:いろんなところで出てくる話のまとめ - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • お金についての浅はかな話 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    要約 ケインズ 雇用と利子とお金の一般理論 作者: 山形浩生,J・M・ケインズ出版社/メーカー: ポット出版発売日: 2011/11/16メディア: 単行購入: 7人 クリック: 272回この商品を含むブログ (11件) を見る ビットコインがらみでお金に関するをいくつか読んでいるんだけど……どのを読んでも、「ではお金とは何か、その質とは何か」というのが必ず出てきて、そしてお金の哲学みたいな話がはじまる。 だけれどいろいろ読んで見て、基的に、お金を哲学的に理解しよう、質的に厳密に理解しようという議論って、全部だめだという感想に到った。特に、真剣にそれをやろうとした当に善意の、学問的良心に満ちた、生真面目な学者先生の議論は、その熱意は痛いほどわかるので大変言いにくいんだけど、まったくダメ。いやむしろ哲学的に、理念的に、精緻に、厳密に掘り下げて原理的に考えようというその生真面目な

    お金についての浅はかな話 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    maangie
    maangie 2014/07/16
    「『ヴァリス』の翻訳とかでもそうだけど、超越だの神学だの西洋経済社会における神の基盤だの、それに対して東洋的な多神教的社会/市場だのっていう抽象哲学的なヨタ話って、みんな本当に好きだよね」うんうん。
  • 消費税引き上げ前夜に:2014年の経済ジャーナリズム (月刊Journalism 没原稿) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Journalism 2014年1月号 出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/01/10メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る もうすぐ消費税率引き上げなので、その前に昨年末に書いた原稿をアップしておく。朝日新聞の雑誌「Journalism」が、2014 年の経済ジャーナリズムについてということで、要求通りのものを書いたのですよ。 ところが、ゲラまで直したあとで、いきなり編集長判断でボツ、とのこと。 その後、実際の雑誌が出たのを見たところ……とにかく全編、なんでもいいからとにかく安倍政権批判をしなくてはいけない、という至上命令が下った模様。群の音だ、秘密保護法でやりたいほうだい、政権の私物化だ云々。全部そんな記事ばっかり。え、2014年のジャーナリズムのあり方についての特集じゃなかったんですか―― ジャーナリズムは秘密保護法に反対しなくてはならない、よって

    消費税引き上げ前夜に:2014年の経済ジャーナリズム (月刊Journalism 没原稿) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    maangie
    maangie 2014/04/02
    ヘイトスピーチ。「紫ばあさん」。玉木正之。
  • エンゲルス「イギリスの労働階級」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ちょっと気が向いて、若き日のエンゲルスのルポを訳してみた。訳出したところは前置きで、おもしろいのはこの次の「大都市」の章。でもここまでの章も、エンゲルスが産業革命にすっごい興奮しているのがよくわかっておもしろいところ。エンゲルス自身が若書きだと言っているので、若々しくしてみた。 イギリスにおける労働階級の状態 (pdf 671kb) 次の章はおもしろいのでこのまま進める予定で、その後は、まあ気が向けば、ですな。エンゲルスは理論家としてはアレながらイデオローグとして優秀だったらしいけれど、ルポライターとしてもお見事です。 当然邦訳あるけど、もちろん一切見てません。 付記(2015.6.13) だれも見てないだろうが、文が終わり、後記とかその後の序文とかに突入しております。 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a C

    エンゲルス「イギリスの労働階級」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ウォールセン『バイオパンク』:新ジャンルに取り組むアマチュアたちの挑戦とその障害をまとめた、わくわくする本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    バイオパンク DIY科学者たちのDNAハック! 作者:マーカス・ウォールセンNHK出版Amazon 遺伝子組み換え、と聞いただけで怖じ気づく人は多いが、その恐ろしい遺伝子組み換えを、いまやそこらのホビイストが平気で始めている。書はその動きや遺伝子組み換えホビイストたちの実像を描き出すとともに、それに伴う懸念や規制の動きを述べつつも、最後には希望を描く、先駆的なだ。 そもそも生命の核心たる遺伝子にマッドサイエンティストじみた科学心を刺激される人は多い。そして高価だった遺伝子組み換え用機器は、安くなって中古品も増えた。各種の遺伝子配列情報も容易に入手できる。すでに技術的、価格的には個人でも十分に手が届くのだ。 それがバイオ技術の突破口になるのでは? 金と時間に縛られる商用バイオ技術(期待ほどの成果はない)に対し、制約のないホビイストは、意外な性質や用途を見つけるかもしれない。かつての無線や

    ウォールセン『バイオパンク』:新ジャンルに取り組むアマチュアたちの挑戦とその障害をまとめた、わくわくする本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - 経済成長の意味。

    ここでのやりとりを見ていて思ったこと。 http://bewaad.com/20061103.html#p01 もう経済成長はいらないとか、お金だけがだいじなのではない、とかを他人に対して(それはたとえば「日は」とか「人々は」とか「先進国は」といった表現になることも多い)口走る連中は、みんな衣足りているどころか飽している人々だということ。そしてその人々が、そのだいじでないはずのお金を手放そうとしたりすることはおそらくほとんどないということ。 が、それより重要なこととして、そうした人々の多くは想像力が欠如していること。経済成長ってことの意味がまったく理解できていない。 ぼくたちが経済成長するということは、別にぼくたちがお金を貯め込むということではない。たくさん生産して、その分たくさん買うようになるということだ。そしてその買う相手は日だけじゃない。アメリカやアジア、各種発展途上国もある

    山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - 経済成長の意味。
  • 呉・樫田著/金川訳『精神病者私宅監置の実況』:すごい。大正期のキチガイ座敷牢の実態調査を現代語で! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    【現代語訳】呉秀三・樫田五郎 精神病者私宅監置の実況 作者: 金川英雄出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2012/09/14メディア: 単行購入: 36人 クリック: 943回この商品を含むブログ (7件) を見る 90年前の大正時代にはすでに精神病者に対応するための法制度もある程度はあったし、精神病院なんてものもあったわけだが、むろんみんながそこに入れたわけではなく、相当部分の精神病者――ボケ老人もかなりいるが、25-40歳くらいが大半――は家族が座敷牢を作ってそこにぶちこむしかなかった。その実態を調査したもの。著者の呉秀三は東京帝国大学の医学部の先生。精神病で呉というと、どうしてもドグラマグラを連想してしまうんだけれど、そういう関係はどうもないみたい。 あちこち農村に分け入ってはその実態を淡々と書いており、その収容されている座敷牢の平面図、患者の状況その他がひたすら記録されている

    呉・樫田著/金川訳『精神病者私宅監置の実況』:すごい。大正期のキチガイ座敷牢の実態調査を現代語で! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    maangie
    maangie 2012/10/21
    金川英雄。
  • 大田俊寛『グノーシス主義の思想』:おもしろいが、どこまでが定説? ポアは? なぜこんな変な発想が要請されたのか? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    グノーシス主義の思想―“父”というフィクション 作者:大田 俊寛春秋社Amazon とてもよいオウムを書いた大田の処女作で、グノーシス主義にも(『ヴァリス』とか読んだので)興味あったので読んで見た。 オウムと同じで、とてもすっきりしていて明快。「父親」というものの観念性を元に、その観念性を逆手にとって承認を通じた納得が生まれ、それが社会にも拡大されて社会が生じ、というクーランジュの発想(『古代都市』うちにあるのに読んでないや)から始まって、いろんなグノーシス文献を手際よくまとめて整理していくのは見事。最後は当の神様をある種のフィクションとして認識しつつも、それを鏡として己を見直し、そして虚構性を敢えて受け入れることで社会性を構築するような発想なんだというところにそれがたどりつくのは、読む側にも「そうか!」という達成感があってすばらしい。そしてこれまでの論者の議論をロマン主義的と切って

    大田俊寛『グノーシス主義の思想』:おもしろいが、どこまでが定説? ポアは? なぜこんな変な発想が要請されたのか? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    maangie
    maangie 2012/04/11
    面白そうではあるな。ダン・シモンズの短編でもグノーシスあったなあ…。フュステル・ド・クーランジュ。荒井献。
  • 山本作兵衛『筑豊炭坑絵巻』:驚愕の記録。ユネスコもたまには立派。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    筑豊炭坑絵巻 新装改訂版 作者: 山作兵衛出版社/メーカー: 海鳥社発売日: 2011/10/17メディア: 大型購入: 12人 クリック: 905回この商品を含むブログ (4件) を見る 朝日新聞向けの今年の三冊を選ぶので、見落としたはないかと丸善をうろつくうちに発見。一見して驚愕。すごい。明治大正からずっと筑豊炭田で坑夫を勤めてきた著者が、そのすべてを絵と文で描きだしたものすごい記録。実際の採掘方法、そのツールや手法の変遷、日常生活、米騒動など時事的な事件、内輪のリンチの様子など、無言であんぐりしつつページをめくる。はっと我にかえり、即購入。リアル屋も捨てたもんじゃないねえ。 全体が絵を中心にかなり詳しい文を添えた瓦版的な構成。絵の描き込みもすごいし、変な価値判断やイデオロギーの入らない淡々とした記述、そしてあちこちに入る戯れ歌、すべて驚異的。明治の炭坑は、夫婦で入って採掘した

    山本作兵衛『筑豊炭坑絵巻』:驚愕の記録。ユネスコもたまには立派。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    こんな文を観て、経団連についてのグチはわからんでもないながら、その後の提案にがっかり。 製造業の代替産業として、ちきりんが一番可能性があると思っているのは「ホスピタリティ産業」です。 高いサービスレベル、正確なオペレーション、気持ちの良い対応、そういった“おもてなし”系のスキルが中心価値のひとつとなり得るホスピタリティ産業には、様々な分野が含まれます。 旅行業、小売り業、外産業、調理法、輸送・配送業、美容業界、事務手続き業、修理業、クリーニング業・・・、どれもこれも「モノを作っていない産業」です。昭和のおじさんは、日の「モノ作り産業」に競争力があるといいますが、ちきりんから見れば、日はこれらの「モノを作らない産業」も相当すごいです。 しかもこれらの産業の多くは、「ニッチなグループの中での高付加価値」ではなく、規模を追求することに経験と親和性があります。多くの小売り、外産業はチェーン

    日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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