翻訳業界の赤い彗星こと山形浩生氏*1が「お金についての浅はかな話」と言うエントリーを書いていて、ビットコインに関連した書籍のうち「お金を哲学的に理解しよう、本質的に厳密に理解しようという議論って、全部だめだという感想に到った」としている。きっとマルクスの物神崇拝のような話が長くてよく分からない議論になっているのであろう。おっしゃる事は良く分かる。しかし、ビットコインと言う電子通貨は、お金を哲学的に理解したくなる特徴を備えているから、もっと生暖かく見守って欲しい。おそらく説明が適当なままの事象の一つで、ビットコインが一つの手がかりになるからだ。 1. 貨幣に求められる三機能 非経済学徒のために、貨幣の機能を振り返っておこう。お金には、交換機能、貯蓄機能、価値尺度(ニュメレール)機能がある。交換機能とは、世の中にある大半の商品と交換してもらえることだ。貯蓄機能は、蓄えておいても腐って無価値にな