2013年02月17日 「食の「欧米化」は悪いことか〜その5『非飽食と多様性』こそ現代日本食の強み」 塩分の摂り過ぎや野菜・果物の不足という問題点はあるものの(注1)、伝統的な日本食ではなく、適度に欧米化いや近代化した現代日本食こそ健康的な食生活であることをご紹介してきました。現代日本食の特徴は、様々な捉え方が可能と思いますが、敢えて一言で表現すれば「非飽食と多様性」ではないかと考えています。 まず「非飽食」についてですが日本の供給エネルギーは世界平均を下回ります(FAO食料需給表2009年で日本2723kcal/日、世界平均2831kcal/日)。これは欧米先進22カ国平均より約2割も少ない値です。お陰で日本の肥満率は約3.5%(BMI30以上、OECDHealthData2012)と、米国の約35%・欧米先進22カ国平均約20%に比べ大きな差があります。 言うまでもなく肥満は健康の大き
2011年04月30日 「放射性物質は食のリスクをどれだけ増やすのか」(3ヨウ素編) ・ヨウ素131の特徴 原発事故ではもっとも多く放出されています。物理的半減期8日・生物的半減期120日(甲状腺見かけ上。ヨウ素は甲状腺⇔血中と循環するため)ですので実効半減期は7.5日。すなわち被曝線量が多いか、継続して被曝し続けた場合にリスクがあります。また、未成年者に甲状腺がんを引き起こす可能性があるので甲状腺への被曝が問題になります。 空気中のホコリとともに皮膚に付着して外部被曝する経路と、ホコリごと吸い込み血中に入り内部被曝する経路、飲食物に付着していたものを吸収して内部被曝する経路があります。今回の事故によるヨウ素の大気への放出は大部分3/15〜24でした。3/14〜4/12の30日間にどのくらい被曝したかを計算してみます。 ・都民の被曝量推計 外部被曝は環境放射線の値で分かります。例えば東京都
2011年04月27日 「放射性物質は食のリスクをどれだけ増やすのか」(2食物中の放射線) ・自然放射線の内訳 世界平均では約2.4mSv/年の自然放射線を浴びています。その内訳は、宇宙から0.39・大地から0.48・食物から0.29・空気から1.26mSv/年程度と推定されています。宇宙からの放射線(宇宙線)は標高と緯度が高いほど多くなります。大地からは花崗岩(カリウム)やモナザイト(トリウム)等があると多くなり、関東ローム層などの火山灰地では少なくなります。 空気からは主にラドンです。換気の良い木造家屋では0.4mSv/年程度ですが、コンクリートや石造りに囲まれて長く過ごすと高くなります(北欧は1〜3.7mSv/年)。海辺の木造住宅に住む漁師は被曝が少ない(海水が大地放射線を遮る)一方、都会のオフィスビルで働き、コンクリート造マンションに住む人の被曝は多くなります。 ただし漁師は紫外線
2011年04月25日 「放射性物質は食のリスクをどれだけ増やすのか」(1基礎編) ・化合物等の安全基準は「石橋を何回も叩いた」数字です 農薬や食品添加物などの場合、「一生食べ続けても健康に影響がない値の1/100以下」というのが一般的な規制値です。実際には、例えば野菜には自己防御物質として農薬物質がもともと含まれています。そして僅かに残留するかもしれない農薬と比べると野菜本体の量はずっと多いですから、私たちは全員、規制値より多い農薬物質を摂取しています。 毒性があるために食品添加物として認められない着色料も、食材そのものに含まれていれば堂々と料理に使うことができます。このように安全基準というものは、例え実態とかけ離れようとも、言わば石橋を何回も叩いて設定される余裕のある数字なのです。したがって、基準値を大きく上回る状態が長く続かない限り問題ありません。 では、放射性物質を含む飲食物を摂取
2010年12月12日 「魚食中心の伝統的日本食は健康的?(1)日本人はそもそも魚食民族なのか」 「日本人は古来、魚と野菜と穀物を主に食べてきた。戦後「食の欧米化」により魚離れが進み、肉食の普及で脂肪摂取量が急増したために生活習慣病が増えるなどの様々な問題が起きている。今こそ、健康的な伝統的日本食を見直そう!」…このような「素晴らしい日本の伝統食」なるものを賛美する書籍やサイトをよく見かけます。 優越感をくすぐる耳当たりの良い主張ですね。飲食業や第一次産業の関係者の宣伝文句というならまだ理解できるのですが、恐ろしいことにマスメディアや教育関係者にもこのような与太話が蔓延しています。果たして根拠はあるのかどうか、幸い日本には100年に及ぶ信頼性の高い統計資料が揃っていますので確認してみましょう。 厚労省「国民健康・栄養調査」、農林大臣官房調査課「食糧需給に関する基礎統計」から数字を拾ってみま
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