『華氏911』の大ヒット以降、総じて沈黙を保っている米ドキュメンタリー作家マイケル・ムーアが、次回作の公開に向けていよいよ活動を再開したらしい。『Sicko(病人)』という仮タイトルの次回ドキュメンタリーは、今年5月に開催予定のカンヌ映画祭での初公開を目指して編集作業が進められているという。(4月20日追記:ムーア公式サイトの最新ニュースによれば、今年のカンヌ映画祭は5月16日-27日、『Sicko』は特別招待作品として上映が決定したとのこと。) 以前から報道されている通り、新たにムーアが取り組む課題はアメリカ医療システム危機問題、特に巨大製薬企業の問題が標的となるとみられている。 米保守派タブロイド紙NYポストによれば、ムーアは911テロ事件現場で救急活動や瓦礫の撤去に携わり、有害な塵を吸い込んで呼吸器官に深刻な障害を負いながら合衆国政府の支援を受けられなかった人々の一部をキューバに連れ
3つの互いに関連のある話をしたいと思う。 1つめ。自衛隊は憲法9条に反するのかどうか、という問題がある。憲法9条に関する重要な判例としてまず、「長沼ナイキ事件」と「砂川事件」を挙げることができる。前者は在日の米軍、後者は自衛隊に関する判例で、ともに自衛戦力を憲法9条に照らし合わせたとき合憲になるかどうかという問題について考えるとき、看過できない判例である。長沼ナイキ事件の最高裁判決(最判57.9.9)は憲法判断を避けたが、砂川事件の最高裁判決(最大判昭34.12.16)では「我が国の主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではなのである」と自衛のための戦力を合憲としている。学説の上で、自衛隊を合憲だと考える場合、憲法9条2項の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という文言は「侵略のための陸海
ほかにも考察結果はあるが、ひとまずは以上で十分だろう。これだけでも十分に複雑である。だが、人道的介入を論ずるとき、なぜ私たちはこのように入り組んだ議論をし、つきつめて考え、短絡的でない結論を模索せねばならないのだろうか。 その最大の理由は、人道的介入への問いが圧倒的な迫力を秘めている分だけ落とし穴も大きいこと、したがって、十分に熟考しておこなわなければならないことである。さもなくば、何のために介入したのか分からなくなるおそれもある。いかにも、このように大切な事柄は、自己陶酔あるいは心情倫理への没頭からなされてもならないし、目前の問題さえ片づければよいといった対症療法であってもならない。(p191〜192) 人道的介入―正義の武力行使はあるか (岩波新書) 作者: 最上敏樹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/10/19メディア: 新書購入: 4人 クリック: 61回この商品を含む
2003年3月20日に開戦したイラク戦争から今日で4年。イラク戦争終結後の2003年5月1日、イラク人支援のために入国し、一時は拘束された経験を持つ高遠菜穂子さんにオーマイニュースはインタビューし、イラクの現状について語ってもらった。 ■4年前を振り返って■ ――みんなの記憶から消えているイラク戦争を振り返るために、2003年に高遠さんが見てきたものを語っていただけますか。 初めてイラクに入ったのは2003年5月1日で、その日はアメリカのブッシュ大統領が「大規模戦闘終結宣言」を発表した日です。厳密に言うと、その前日の夜中、4月30日の夜中に、隣国のヨルダンのアンマンを出て、朝方、国境に着きました。そこからどんどん東に向かっていくわけですが、そのときは、日本人の方3人と私、4人で行きました。 国境は一応、米兵がイラク側にいました。国境を数回行き来しましたが、1回目のときは、さすがに米兵がチェ
全体構図が今一つ読めないのだが、このあたりでパキスタン情勢についてメモがてらエントリを書いておいたほうがよさそうな感じがする。そう思ったきっかけはワジリスタン情勢だ。国内ニュースでは共同”武装勢力と戦闘、30人死亡 パキスタン部族地域”(参照)がある。 パキスタン軍報道官は20日、アフガニスタン国境に近い北西部部族地域の南ワジリスタン地区で、地元部族とウズベク人中心の武装勢力による戦闘があり、約30人が死亡したことを明らかにした。国際テロ組織アルカーイダに関係する武装勢力とみられる。 日本だと一部の奇妙な情報発信のせいなのか、アルカイダを米国が創作したフィクションのように捉えるむきもあり、ましてブログで扱ってもそういうヘンテコな意見に混ざってしまいがちなので、書くのがおっくうになる。が、気を取り直す。 同ニュースにもあるが、今回の戦闘はその前日に始まっており、襲撃されたのは学校バス。死者に
今日のイギリスはまたまた朝からスッキリ晴れてます。しかも午後になってから雲は出てきてません。すばらしい花金(=花の金曜日)になりそうです。 さて、昨日は国際政治分析をしている人々が陥りやすいジレンマ、つまりすべて起こっていることは合理的な意志によって行われていると勘違いしやすい、という話をしました。 今日はこれと似たようなことで、軍事分析をする人が陥りやすいジレンマを。 軍人というのは、結局は刃物みたいなもので、目的がハッキリした、どちらかというと単純思考の人々が多い、というイメージが昔からあります。 もちろん思想的な軍人、つまり「われわれの仕事は敵を打ち負かすことだ」というところで思考停止せずに、もっと哲学的に考えている人はけっこういるのですが、どうしても仕事の役割上「敵を倒すのが仕事」と考えがちになっている人は歴史的に多かったのです。 そのような考え方の典型が、「相手を殺す」ということ
本編第二回目は枝葉の部分を見て行きましょう。兵器関連の話題、特に自衛隊の装備についての話を中心に挙げて行きたいと思います。 先ずは第一部入門編より。 『陸上自衛隊が使用している国産の九〇式戦車は、一両八億円する―と聞いて、あなたはどう思うか。 もちろん、八億円を「安い」と感じる人は、あまりいないだろう。しかし、本当のところ、戦車の値段が八億円とか九億円とか言われても、それが果たして安いのか高いのか、判断できない人が圧倒的に多いのではないだろうか。 実はこの戦車は、国際相場からすればバカ高いのである』 p39~p40 この手のネタはもう食傷気味です・・・ 90式戦車 8億円 ルクレール 9億7000万円 チャレンジャー2 11億3800万円 西側第三世代戦車で比較して見ても、バカ高いとは言えません。特にフランスのルクレール(Leclerc)戦車は、日本の90式戦車とほぼ同時期に
「反戦軍事学」の帯には、このような煽り文句が書かれています。 『徴兵制復活?核武装?これを読んでまだ言うか!』 また第三部上級編にはこう書かれています。 『その日本において、軍事問題や核問題に関する議論のレベルが、これほどまでに低く、およそ軍事常識を無視した「徴兵制復活論」「核武装論」等々が幅を利かせているという事態は、私には不可思議で仕方ない」』 p142~p143 核武装論についてはまた別の機会に廻すので置いておきますが、「徴兵制復活論」が"幅を利かせている"事態なんて、今の日本で目にした事はありません。本書で林信吾氏は、核武装論に付いては兵頭二十八氏という核武装論者を引き合いに出して批判しています。しかし徴兵制復活論については、徴兵制復活論者を紹介して批判するというやり方を行っていません。 林信吾氏が徴兵制の項目で紹介している人物は元防衛庁長官の石破茂氏ですが、林信吾氏は石破氏の事を
この報告について この報告の内容は、米日協力にかんする研究をおこなった超党派グループのメンバーによる全会一致の見解である。本報告は、政治文書ではなく、本研究グループメンバーの見解を反映したものにすぎない。本報告は、たんに、アメリカにとって不可欠と考えるアジア関係に、一貫性と戦略的方向を与えようと試みるものである。 研究グループは以下のメンバーで構成されている。リチャード・L・アーミテージ(アーミテージ・アンド・アソシエーツ)、ダン・E・ボブ(ウィリアム・V・ロス二世上院議員事務所)、カート・M・キャンベル(戦略国際研究センター)、マイケル・J・グリーン(外交関係評議会)、ケント・M・ハリントン(ハリントングループLLC)、フランク・ジャヌージ(上院外交関係委員会民主党スタッフ)、ジェームズ・A・ケリー(戦略国際研究センター・太平洋フォーラム)、エドワード・J・リンカーン(ブルッキングス研究
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