春から山田孝雄「假名遣の歴史」のテキスト化を進めてゐたが、漸く年内中にPDF化まで漕ぎ着けた(出來れば製本まで進めたかつた)。爲事の遲い私にしては上出來だつた。材料自體は何年も前に揃へてゐたが、昔の舊字舊假名の本をOCRで讀みとるのは結構厳しいものがあつた。 次は誰をやつてみようかな。
(第154号、通巻174号) 来年4月の公演を最後に建て替え工事が始まる東京・東銀座の歌舞伎座。「さよなら公演」と銘打って今年初めから名作の出し物が続いているが、横浜から貸し切りバスで行く格好の観劇ツアーがあったので、話のタネに、と参加してみた。全体的にはなかなかいい企画だったのだが、気になったのはバスガイドの案内。歌舞伎座でのスケジュール説明で、再三再四「まくま」という言葉を繰り返したのだ。漢字で書けば「幕間」。本来は「まくあい」と発音すべき芝居用語である。 「幕間」のことを「まくま」と誤解している人は少なくない。その傾向が最新刊の辞書にも反映し、規範意識の高いことで知られる『岩波国語辞典』第7版に「軽演劇や映画などで俗に〈まくま〉とも言う」と条件付きながら採録された。この記述はしかし、今のところでは突出した例外的な扱いだ。『大辞林』第3版(三省堂)や『現代国語例解辞典』第4版(小学館)
「改定常用漢字表」に対する意見募集は、2009年の3月から4月に行われたのが1回目(http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2009/shin_kanji_ikenboshu.html)、現在行われているのが2回目(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1050&BID=185000443)だが、1回目と2回目では「亀」の「いわゆる康熙字典体」として丸括弧内に掲示された「龜」の字体が違う(下図)。 今回(2回目)の「龜」は、JIS X 0208またはJIS X 0213の例示字体と異なっており、Adobe-Japan1-6にも入っていない。関連するエントリは「カメの書き順とか画数とかをめぐって」。
ルビ(ふりがな・よみがな)の付いた文章を、子どもたちと日本語の初学者に贈りたい。日本語の漢字は、読むのが難しいという事実を再確認したい。 「昆虫をウスバカゲロウと書けば「薄馬鹿下郎」に誤られるかも知れない。薄羽蜉蝣(かげろう)と正しく漢字で書くのが良い。蜉蝣が読みにくいと思うなら振仮名をする。動物名の正書法は漢字で書くことである。」 (榊原邦彦(さかきばら・くにひこ)『国語表現事典』和泉書院1999年179頁) 動物名・植物名は、読みにくいのが多いので、もっともっとルビを付けよう。ルビが付いていれば、読み方を覚えられるし、間違って覚えていたものを訂正できる。 河豚(ふぐ)・海豚(いるか)・白詰草(しろつめくさ)・萩(はぎ)・荻(おぎ)
地方では、学会が始まるかなり前に、宿の外に出ることをここのところ心掛けている。島根県の松江市では、出雲大社や松江城など名所は前に行ったようにも思え、その城は遠くから見られればもうそれで十分だった。 宍道湖畔のホテルを出て、バスに乗り、また歩いてみる。そうしたことを繰り返す中で、山陰の「陰」の書きやすい異体字など、すでに知られたものが今でも看板などに多少は残っていることに気づく。 珍しくほんの少しながら予習したことを活かしつつ、白「潟」天満宮(新潟で有名な「さんずいに写」を確認)、「鼕」(ドウ)伝承館、「淞」(ショウ)北台、「附」属中学に居並ぶ「付」属小学校など、気になるところを踏査してみる。ほかにもいろいろと特色ある字が目に入ってきた。 そして、会場の県民会館に向かう途中で、昔ながらの小さな豆腐屋を見掛けた。看板には店の名前に「豆腐」ではなく、「豆富」が使われている。松江では昭和38年(1
すっきりとあか抜けしているさま。 俗っぽくなくしゃれているさま。 「瀟洒」というと、マンション・ホテル・邸宅・館など、建物のイメージが浮かびます。 例題に「瀟洒な身なり」とあるように他にも形容できるのでしょうが、あまり建物以外の表現を見聞きしたことがありません。 ちょっとおもしろい現象だなと思いました。 「瀟」ショウ 1、清くすがすがしい 2、風雨がはげしいさま 「洒」シャ・サイ 1、すすぐ。水をかけて洗う 2、さっぱりしている 見ても書けない難しい漢字の「瀟」は「瀟洒」以外にはほぼ使われていません。 「洒」のつく熟語には、「洒脱」「洒落」があります。 ・洒脱(しゃだつ) 俗っぽくなく、さっぱりしていること。あかぬけしていること。 「瀟洒」に贅沢で華美なイメージを持っていましたが、「瀟洒」は「洒脱」とよく似た意味だったんですね。 「洒落」は、「しゃらく」と「しゃれ」の読みがあります。 ・洒
この連載も、早いもので丸2年、合計で50回目を迎えた。何とか続けてこられたのは、中身にかかわる情報や温かな感想を寄せて下さる読者の方々や、ほぼ隔週で、しかも書きたいように書くことを許して下さる担当の方のお陰かもしれない。 さて、後期が始まり、学生たちの肉筆に再び直面する。 とくに新規登録の受講者たちは、いろいろなことばで挨拶を書いてきてくれるものだが、そこにしばしば付け加えられるのが「よろしくお願いします」というたぐいの常套句的な文言である。そこでは、「よろしく」という部分に漢字を交えた場合、ほとんどの人たちが「宣しく」と手書きしてくるのである。ここのところ少なくとも10人ほぼ連続してそうなっている。 「宣」は音読みが「セン」、「宜」は音読みが「ギ」であり、両者は字体がたまたま似ているが別々の漢字である。常用漢字表では、それらの2字に対し、いずれにも訓読みを与えていない。つまり、「宣」の「
TYPE RHYTHM presents『エレメントで見分ける明朝体』 其の二:ハネ篇 前回に引き続き、『エレメントで見分ける明朝体』。今回は「ハネ篇」です。 前回はおかげさまで多くの方からメッセージをいただくことができました。 皆様、本当にいつもありがとうございます。 ハネはハネもヨコ画やタテ画と同じようにそれぞれの特徴が出やすいエレメントだと思います。各明朝体の好き嫌いが分かれるところかも知れませんね。各フォントごとに、いちいち余計なコメントをつけていますが、お気になさらずに、長さや角度などを比較していただけたらと思います。 それではどうぞご自由にダウンロードして使ってみて下さい。 (pdfファイル/136KB/A4×2p) 【もしよろしければ…】 ダウンロード後、もしよろしければ、以下のフォームに入力後、送信してください。 これに関しては全く自由ですので、入力され
1、延べ広げること。 2、(文章・談話などに)説明を加えて判りやすくすること。 この言葉も知りませんでした。 例文としては、 ・憲法を敷衍して人権向上を図る ・環境負荷という観点で敷衍してみようと思う。 ・誤差が±5%で全体に敷衍できる統計 ・ノウハウの敷衍で防げた可能性のある事故 さて、「衍」はどんな意味をもっているのでしょうか。 「衍」エン 1、水が流れる 2、あふれる 3、ひろがる=延 「衍」の付く熟語でおもしろい発見だったのは、 「衍字」(えんじ) “文章の中に誤って入った余計な文字” これも馴染みのない語だと思うのですが、 対語が「脱字」と知ると、ホーっと思ってしまいました。 「衍入」「衍文」なる言葉もあります。 誤って挿入された文字・語句・文のことです。 これだけ copy&pastしまくりのワープロでの文書作成で、ミスも多いでしょうから「衍入」(えんにゅう)という言葉が飛び交
一 . 文字譜 : 『文字譜』是唐代以前琴家使用的記譜方法,即用文字詳細記述弦序、徽位和演奏指法,相當複雜。但不直接記音高和節奏,舉例如下:「耶臥中指十上半寸許案商,食指中指雙牽宮商,中指急下,與構俱下十三下一寸許住末商起,食指散緩半扶宮商,食指挑商又半扶宮商,縱容下無名於十三外一寸許案商角、於商角即作兩半扶挾挑聲一句。」(摘自《碣石調.幽蘭》譜第一段第一句) 《碣石調幽蘭.第五》『文字譜』 因此往往記錄一首短小的琴曲,卻有厚厚的琴譜。到目前為止,世上最古老的琴譜——唐代人手抄卷子《碣石調.幽蘭》,即為『文字譜』,這也是唯一僅存的『文字譜』。此譜曾東傳日本數百年而無人能識,原件現存於日本東京國立博物館,視為日本的國寶級收藏,彌足珍貴。(有關《碣石調.幽蘭》的詳細介紹,可見主頁中的《幽蘭專題》) 二 . 減字譜 : 『減字譜』相傳為唐代曹柔據文字譜簡化、縮寫而成。減字譜的每一字塊為 由漢字縮
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