政府はこれまで、沖縄県内で米軍関係者による重大な犯罪が発生した際、1997年の日米合同委員会合意に基づき、県に通報してきました。ところが、今回の在沖縄米空軍兵による16歳未満の少女誘拐・性的暴行事件では、昨年12月の事件発生から今月25日にいたるまで6カ月間も隠蔽(いんぺい)していたことが判明。県内外に怒りの声が広がっています。 政府は隠蔽してきた理由の説明を避けていますが、時系列で振り返ると、重大な事実が浮かび上がります。(表参照) 事件が起こった当時、名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、政府は県の権限を奪って工事を行う「代執行」を強行。さらに起訴直後の4月8日、岸田文雄首相は国賓待遇で訪米に出発し、10日の日米首脳会談では日米の指揮統制強化など重大な合意が行われました。 5月17日には、エマニュエル駐日米大使が沖縄県の与那国・石垣両島を訪問。その狙いは、先島地域の米軍基地化の地ならし
(写真)沖縄での米兵による少女暴行事件について政府に抗議・申し入れを行う(左から)赤嶺、小池、山添の各氏=26日、参院議員会館 在沖縄米空軍兵による性的暴行事件を巡り、日本共産党国会議員団は26日、国会内で政府に対し、抗議と緊急の申し入れを行いました。小池晃書記局長は抗議文を手渡し、「被害者の人権と尊厳を踏みにじる卑劣な蛮行だ」と抗議しました。赤嶺政賢衆院議員、山添拓参院議員が同席。 抗議文は、政府が事態を把握していたにもかかわらず、沖縄県側に一切明らかにされていなかったことを指摘し、「国民の命と安全に関わる問題であるにもかかわらず、日米安保体制の維持を最優先にし、事実を隠蔽(いんぺい)しようとする姿勢は断じて容認できない」と批判。米軍関係者の事件が繰り返されてきたとして、「政府は県民の人権蹂躙(じゅうりん)の根源である米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の抜本改定に正面から取り組むべきであ
米兵の16歳未満の少女への誘拐、不同意性交の事案を受け、怒りを露わにする玉城デニー知事=25日午後5時31分、県庁 米空軍兵長の男(25)が昨年12月、沖縄県内に住む16歳未満の少女を車で自宅に連れ去り、同意なくわいせつな行為をしたとして、わいせつ誘拐、不同意性交等の罪で起訴されていたことを受け、同県の玉城デニー知事は25日、県庁で記者団の取材に対して「怒り心頭だ」と強い憤りを示した。 「基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に強い不安を与えるだけでなく、女性の尊厳を踏みにじるもので、特に被害者が未成年であることを考えれば、県民の安全に責任を持つ者としては極めて遺憾と言わざるを得ず、強い憤りを禁じ得ない」と述べ、今後情報収集を進めた上で米軍などに強く抗議をする姿勢を示した。 県内では2008年に、米海兵隊員の男が少女に対して性的な暴行を加えた事件で、被害者に対して誹謗(ひぼう)中傷
アメリカ軍が地元の反対を押し切り、4カ月連続で嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行したことについて、嘉手納町議会の議員全員が沖縄防衛局に抗議しました。 嘉手納基地では14日、アメリカ軍によるパラシュート降下訓練が行われ24人の兵士が基地に降り立ちました。 訓練は例外を除き、伊江島補助飛行場で行うことで日米で合意されていますが、アメリカ軍は、伊江島補助飛行場の滑走路の修繕工事を理由に、去年12月から4カ月連続で嘉手納基地で強行しています。 嘉手納町の町議16人全員が沖縄防衛局を訪れ、嘉手納基地での降下訓練の全面禁止を求める意見書を伊藤局長に提出しました。 嘉手納町議会 宇栄原京一議員: 「このままの状態が続けば、おそらく4月も強行されて5回目の訓練が繰り返されるのではないか」「伊江島補助飛行場が使えない理由を盾にして常態化されていくんじゃないか」 伊藤局長は、アメリカ軍に伊江島補助飛行場で
【嘉手納】嘉手納町議会(仲村渠兼栄議長)は5日の3月定例会で、米軍嘉手納基地の航空機騒音激化と、同基地で3カ月連続でパラシュート降下訓練が実施されたことに抗議する決議・意見書をそれぞれ全会一致で可決した。抗議・意見書は全議員の連名。 15日には、全議員で沖縄防衛局の伊藤晋哉局長を訪れ、直接意見書を手渡す。全議員での要請行動は2018年以来となる。従来の要請よりも踏み込み、議会として強い抗議の姿勢を示したい考えだ。 騒音激化は航空機騒音規制措置の順守や航空機の急上昇・急旋回の禁止、外来機の飛来禁止などを求めた。パラシュート降下訓練については嘉手納基地での訓練の全面禁止と、嘉手納基地で実施する根拠とされる「例外的措置」の撤廃を求めた。 町議会基地対策特別委員会の當山均委員長によると、町民から「朝の爆音はひどい。気が狂いそう」「病気で寝ているところを起こされた」「精神的に不安定になりそう」などの
【エキスパートEye】 この一連の事件は、主に3つのレイヤーでできていると分析しています。 (1)警察官が当時高校生の男性に暴力をふるったこと (2)その抗議として若者が沖縄署に集結をし、投石などを行なったこと (3)こうした経緯を踏まえ、男性に対するデマを元にした誹謗中傷殺到が発生したこと この記事は(1)の事件の裁判であり、(2)の事件で投石した少年たちも書類送検をされるなど法的な対応を下されています。 気になるのは(3)の事件で、ネット上でデマを元に誹謗中傷をしていた多くの人間が、おそらく何の反省もせずに今もなお同じような誹謗中傷を繰り返していることでしょう。 ここで浮かび上がるのが公正世界仮説という言葉です。世の中は「良い行いをした人には良い事があり」「悪い行いをした人には悪い事がある」といった考え方です。何らかの形で事件の被害者となった人間に対して「こいつに落ち度があったのではな
在沖米軍幹部が名護市辺野古沖合の軟弱地盤への懸念や新基地完成後も普天間飛行場の機能維持を望むと発言したことを巡り、照屋義実副知事は8日、「米軍が正直に思っていることだろう。沖縄だけに基地を押し付ける構造的差別が改めて示されたといえる」と述べ、辺野古が唯一の解決策との姿勢を崩さない日米両政府を批判した。本紙などの取材に答えた。
【東京】今年5月、米海兵隊の当時10代の米兵が、沖縄県内で女性に暴行を加えてけがをさせ、傷害の罪で罰金の略式命令を受けていたことが明らかになった件について、松野博一官房長官は17日午前の会見で「個別事件における検察当局の事件処理について政府として所感を述べることは差し控える」と述べた。 刑事処分された上等兵は名護市辺野古のキャンプ・シュワブに所属。報道陣からは政府が米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設を進めている現場のキャンプ・シュワブの所属兵による事件が発覚したことについての受け止めを問う声も上がった。 再発防止についての政府の取り組みについても問われたが、松野氏は「当局においては具体の事実に即して法と証拠に基づき、適切に捜査を行っているものと承知している」と答えるにとどめた。 (安里洋輔)
今回の全県調査の土壌調査について、今後の調査の展開のためにまずコメントしておきたい。調査が科学的な調査足りうるには「再現性」が必要である。再現性とは、他の人が同じ方法で再現できるような調査をし、その手法を示すことである。 県が実施した実態調査の土壌調査では示されている場所は市町村のみで、採取場所が示されていないため、再現性が担保されていない。調査では、地点の選定理由を示し、選定の妥当性を示すことも必要だが、地点を特定していないので、必然的にそれもない。 また、場所の選定過程も不明であり、県と市町村の「調整」が入るのも、不透明さに拍車がかかっている。「風評被害の恐れ」ということで情報を出さないことが、どのような結果を生むのか、続報の、相対的に高い値で検出された久米島の報道(「久米島PFAS役場敷地 県調査で検出 町発表『水源は安心』2024年4月3日)でわかる。非公開による憶測が、実質的な経
沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる同県名護市辺野古の新基地建設で、防衛省は新たな既成事実づくりのための工事を始めようとしています。県は工事の根拠に「重大な疑義がある」として手続きの中断を求めていますが、応じようとしません。沖縄の新基地反対の民意を踏みにじり工事を続けようとする岸田文雄政権の姿勢は許せません。 完成の見通しなし 辺野古の新基地建設では、埋め立て予定地がある大浦湾に「マヨネーズ並み」の軟弱地盤が広がっています。地盤改良をしなければ埋め立て工事はできず、防衛省は当初の設計を変更せざるを得なくなりました。 変更には、公有水面埋立法に基づき県知事の承認が必要です。しかし玉城デニー知事は2021年、地盤の安定にかかわる必要な調査がされていないことや普天間基地の危険性の早期除去につながらないことなどを理由に、防衛省の設計変更申請を不承認にしました。 大浦湾側の埋め立て工事は行
在日米軍基地などで働き、日米地位協定により特権が与えられている米軍属の総数が1月16日時点で1万2926人に上り、このうち米軍と契約する請負業者(コントラクター)の被用者も3792人と、増加傾向(表)が続いていることが外務省への取材で分かりました。 2016年4月に沖縄県うるま市で発生した、当時軍属だった元米海兵隊員による女性暴行殺人事件をふまえ、日米両政府は17年1月に軍属の範囲を「明確化」して対象を絞るために日米地位協定の補足協定を締結しましたが、何の効果もないことが浮き彫りになりました。 地位協定第1条は軍属を定義していますが、幅広い解釈が可能です。軍属は、「公務」中の事件・事故で米側が第1次裁判権を持つなどの特権を持っており、同事件の加害者もインターネット関連会社の社員でしたが、軍属の地位を与えられていました。 うるま市の事件を受け、日米両政府は17年1月、同補足協定に署名(日本側
本土復帰前年の1971年11月17日、米軍統治下の沖縄で住民側トップだった琉球政府行政主席の屋良朝苗(やらちょうびょう)は、パスポートを手に羽田空港行きの便に飛び乗った。沖縄の総意としてまとめた「復帰措置に関する建議書」を首相の佐藤栄作らに手渡すためだ。
那覇市議会は臨時議会最終日の25日の本会議で、米海兵隊員が同市で女性に性的暴行をしようとし、けがをさせたとして昨年12月に強制性交等致傷罪で起訴された事件について「満身の怒りを込めて厳重に抗議する」とした意見書・決議を全会一致で可決しました。 同意見書・決議は日米両政府と米軍に対し、▽被害者への謝罪と完全な補償、丁寧な精神的ケア▽抜本的で具体的な実効性のある再発防止策を講じること▽容疑者の身柄の即時引き渡し、日米地位協定の抜本的改正を図ること▽在沖縄米軍基地の整理・縮小の推進―などを求めています。 県内では、2021年1月に那覇市で米海兵隊員による強制わいせつ事件、同年4月に本島中部で米空軍属による強制性交等未遂事件が発生しており、同市議会は、それぞれに対し抗議の意見書・決議を可決してきました。 今回の意見書・決議は、沖縄が本土復帰50年を迎える今になっても沖縄に米軍基地が集中し、県民には
玉城デニー知事「憲法ないがしろの沖縄、解消を」 「辺野古」巡り日米両政府と3者協議求める 本土復帰50年インタビュー 沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は、5月15日に沖縄が本土復帰から50年を迎えるのを前に、本紙の単独インタビューに応じた。半世紀を経た今も、県民が過重な米軍基地の負担に苦しみ、安全・安心な生活が保障されていない現状について「憲法がないがしろにされている状態を1日も早く解消すべきだ」と主張。名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設に関しては「2019年の県民投票で反対の意思を示した。民主主義を国民に示せる政府の姿を求めたい」と述べ、岸田文雄首相に工事の中断と対話を求めた。(山口哲人)
在沖米陸軍が那覇軍港で実施した訓練で、基地フェンスの外から写真を撮影していた本紙カメラマンに兵士の1人が銃口を向けた。見解を問うと米軍は「武器は記者を指していない」として意図的に銃口を向けた可能性を否定した。当時、武器には弾薬は入っていない状態だったという。 基地の外にいる報道カメラマンに銃口を向けることは、憲法で保障されている報道の自由に対する挑戦だ。米軍は意図的に向けた可能性を否定したが、民間地に銃口を向け、民間人に恐怖を抱かせたこと自体大問題である。 弾薬の有無は民間人には分からない。仮に意図がなかったとしても威嚇と受け止められたことを重視すべきだ。銃口を向けた行為に抗議する。米軍と日本政府には真相究明と再発防止の徹底を求める。 本紙カメラマンは那覇軍港のフェンス沿いで訓練を撮影していた。その際に兵士1人が銃を水平に保ったまま右から左に体を回転させ、記者と相対すると、銃口を向けたまま
在沖米陸軍は31日夕、米軍那覇港湾施設(那覇軍港)で基地警備訓練を実施した。銃を携帯し武装した兵士が軍港内の倉庫を警戒する様子などが、国道331号沿いから確認された。基地フェンスの外で写真を撮影していた琉球新報のカメラマンに対し、兵士の1人が銃口を向ける場面があった。 >>詳しい記事はこちら>>米兵が本紙記者に銃口 那覇軍港警備訓練の取材中に 基地施設内から小銃を民間地方向に向ける武装米兵=31日午後5時32分、那覇市の那覇軍港(ジャン松元撮影) 【関連ニュース】 ▼銃を向けて警戒、響くオスプレイの重低音…那覇軍港訓練 ▼【動画】「すごい近い…」座間味沖で2機が低空飛行 ▼【動画】街の低空、揺れる物体…普天間オスプレイつり下げ訓練 ▼外来機F35ステルス戦闘機が普天間に飛来するのはなぜか? ▼【図でわかる】米軍機爆音「120デシベル」とは…救急車の音の何倍?
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