この記事は、雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版 2020年10月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。 解析技術の飛躍的な進歩と化石の発掘ラッシュで、恐竜研究の最前線では今、新発見が相次いでいる。皮膚や羽毛の色から子育ての方法、生態や進化の道筋まで、恐竜像が大きく塗り替えられようとしている。 肌寒い1月の午後、英国ロンドン市内の水辺にたたずみ、恐竜の群れを見つめる女性がいた。 彼女はロンドン自然史博物館の学芸員、スザンナ・メイドメントだ。この日、私と一緒にクリスタル・パレス公園を訪れていた。この公園には1854年に、公共施設としては世界で初めて恐竜の復元模型が設置された。模型は公開と同時に大きな反響を呼び、今も続く恐竜ブームに火をつけた。映画『ジュラシック・パーク』の公開より1世紀以上も前に、この公園の恐竜たちは30年連続で年間200万人もの見学者を集めて