1950年代以降、インドは中国と国境をめぐって対立してきた。近年は中国がインド太平洋地域への進出を強化し、影響力の拡大に取り組んでいる。インドは、敵の敵は味方、のロジックに基づいて日米豪の4カ国と戦略的な枠組みである“クアッド”を形成し、自由で開かれたインド太平洋地域の実現を目指している。 足許では、インドに事業拠点を移す、あるいは事業運営体制を強化する企業が増えている。経済面からみるとインドは自由資本主義陣営に仲間入りしつつある。それはインドのみならず、世界経済の安定と成長に重要だ。 その一方で、インドはエネルギー資源の調達などにおいてロシアとの関係も重視してきた。中国への対抗と国内の需要を満たすために、インドにとって対ロ関係は重要な役割を担っている。ウクライナ危機をきっかけに世界経済の成長率低下と物価高止まりの同時進行が懸念される中で、インドが自由資本主義陣営との関係強化に集中できるか