4月30日に相次いで発表された日本銀行の「展望レポート」と、FRB(米連邦準備理事会)のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文には類似点があった。どちらも先行きの経済の不確実性を強く意識していたという点である。4月後半に金融市場では、米国の金融システム危機はボトムアウトしたという楽観論が広がった。 主要国の株価は上昇し、外為市場ではドルが買い戻された。しかし、日米の金融当局は今後の展開を市場ほど楽観視していなかった。米国民のインフレ予想が高騰したため、FRBは今回の利下げで当面の金融緩和フェーズをいったん停止する見込みだ。しかし、FRBは米国経済の回復に自信を持っていない。 4月11日のG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)では声明に、主要通貨の急激な変動を懸念する表現が盛り込まれていた。欧州勢のドル急落に対する強い不満が反映されたものだが、ドル安懸念に関するG7間の合意はガラス細工のよう