前回は、住人不在の富裕層向けニュータウン開発の謎を解明するべく、上海で不動産ビジネスを行うベターハウス上海の奥村尚樹さんに話を聞いた。 背景には日中の不動産取引のルールや商習慣の違いがあった。日本の常識では考えられないほど強権的な政府による規制や介入も頻発していた。なかでも彼のビジネスに大きな転換をもたらしたのが、2006年7月、打ち出された外国人の不動産投資規制に関する法改正だった。日本からの個人による中国不動産投資が突然できなくなったからである。 あまりに突然だった外国人不動産投資規制 ―― 改正はどのくらい前からわかっていたのですか。 「噂を聞いたのはわずか1か月前のことでした」 ―― 突然の改正によって御社はビジネスモデルの一翼を失うことになったわけですよね。 「こうしたドラスティックなことも、いきなり起こるのが中国です。皆さんはそれをチャイナリスクとおっしゃるけれど……」 当時の