南太平洋のトンガ沖で起きた海底火山の大規模噴火は地球の寒冷化をもたらすのだろうか─。フィリピンのピナトゥボ火山の大噴火(1991年)は日射量の減少を招き、世界各地で気温が低下した。日本でも2年後に記録的な冷夏となり、深刻な農業被害を生じさせた。ただ、トンガ沖の噴火は寒冷化を招く化学物質の放出量が比較的少ないとみられ、大気放射学や気候変動を専門とする東北大の早坂忠裕教授は「現時点では気候に与える影響は限定的だろう」と指摘する。 15日にトンガ沖で起きた海底火山の噴火で生じた噴煙は高度16キロの対流圏を超え、成層圏で最大30キロに達したことが米航空宇宙局(NASA)で観測された。過去の大規模な噴火は、地球規模で一時的な気温の低下をもたらした。 「20世紀最大の噴火」といわれる91年6月に発生したフィリピン・ルソン島のピナトゥボ火山の噴火後は、地球の平均気温が約0・5度下がり、回復するのに4~5