三菱商事は困惑しきりではないか。昨年末、秋田県および千葉県沖の3海域における洋上風力プロジェクトの入札で三菱商事を中心とするコンソーシアムが3海域すべて総取りで、しかも他の参加者の平均価格の半分程度という圧倒的な低価格で落札した一件である。 低価格で落札したことは国民の電気料金負担を軽減するわけなので、本来称賛されるべきことだ。ところがこの三菱商事コンソーシアムの落札に対しては「風力発電業界」から異論が噴出しているという。三菱商事コンソーシアムによる価格破壊が事業の実施可能性、産業育成、立地地域の合意形成の面で問題が生じうるとして、今後の入札基準の見直しや審査評価の透明化、更には今回の三菱商事コンソーシアム落札の結果さえも政府は見直すべきとする論稿まである。 見直せば、アジア展開への狙いとは逆行 筆者はむしろ三菱商事コンソーシアムの落札結果を見て、日本の洋上風力に対する悲観的な見方を少し修