アベノミクスによるプラスの効果が大企業のみならず中小零細で働く人たちの所得にいつ反映されるのかが議論され始めて久しい。上海で生活する私のケースで言えば、このコラムを書いて日経ビジネスからいただいている原稿料の使い出が、悲しいほど減ってしまった。アベノミクスのおかげで進んだ円安で、である。 私は中国や香港を拠点に仕事をし始めて20年以上になるのだが、「この品物は日本円だといくらになるのか」ということをどうしても気にしてしまう。この10年は日本の媒体からもらう原稿料など円建て収入の比率が多いのでなおさらである。 例えば去年の1月、上海の日系デパートのフードコートに日本の有名とんかつチェーン店が入居した。ロースかつ御膳が62元、持ち帰り用のロースかつ弁当が52元。当時の円レートは米ドルが88円、人民元が14円で、これに照らせば870円と730円。一人での外食はできるだけワンコインで収めたい私とし