【ソウル=時吉達也】与党が惨敗した韓国総選挙では、著名候補の明暗が大きく分かれた。対日関係の改善に貢献した知日派の議員らが相次いで落選し、今後の日韓関係に影を落としている。与党「国民の力」元代表で、尹錫悦大統領と激しく対立した中道系新党の39歳の候補が下馬評を覆して初当選し、最大のサプライズとなった。 韓日議連会長を務める与党の鄭鎮碩議員(5選)は、中西部忠清南道の選挙区で最大野党「共に民主党」候補に敗れた。重鎮の鄭氏は選挙戦で「最後の挑戦」を強調。次期国会の議長候補の最右翼とみられていたが、約2・2ポイント差の接戦で苦杯を喫した。 鄭氏は、2022年5月の尹錫悦政権発足に先立ち、外交方針などを日本側に説明する代表団の一員として来日。日韓関係改善に慎重姿勢だった文在寅前政権からの政策転換を主導した一人だった。 日韓関係に詳しい李元徳国民大教授は、鄭氏の落選がいわゆる徴用工訴訟問題にも影響を