≪「数に乗じ」は国会の命取り≫ 国会が始まった。「政治とカネ」の問題もあるが、民主党政権の最大の問題は、開かれた自由な議論がまったくないことだ。あるのは不明瞭(めいりょう)な政策決定プロセスと利益誘導型政治、そして選挙に勝つことがすべてとする政局至上主義だ。しかし民主主義というのは選挙に勝った多数派が、数に乗じて好き勝手にしていいということではない。国会は国のあり方を議論する場であり、選挙は、国民の代表として国会で議論する人を選ぶ営みである。選挙に勝てば議論はいらないというのは民主主義の死である。 政治家が党のためでなく、日本のために働いていることを思い起こせば、国会においてはもっと真剣な、本質的な議論があってもいいのではないか。 ただ国会に議論がないのは何も民主党政権に始まったことではない。確かに議論に似たものとして国会質疑はあるが、これは議論ではない。与党の質問はおおむね台本があるよう