「お金があるゆえの不幸」も存在する お金がもっとあれば、幸せなのに……。そんなふうに思っている人は多いことでしょう。しかし、私は、たくさんの高年者と向き合うなかで、「お金があるがゆえの不幸」があることを知りました。 高年者にもときどき、こんな人がいます。高級老人ホームに入居し、設備や調度品も立派な個室に住んでいるのに、いつも不機嫌そうにしています。1日3回、栄養バランスの整ったおいしい食事が、何もいわずとも出てくるにもかかわらず、「おいしい」と顔をほころばせることはありません。 彼は会社の社長でした。老後の資金は潤沢にあります。ですが、参照点が社長だった頃の自分にあります。現役時代には、社員が自分にひれ伏していたのに、今や自分を慕って会いに来る人はいません。参照点が高いぶん、「あんなに可愛がってやったのに、裏切りやがって」と人に対して不満を持ちやすくなっています。 老人ホームのスタッフはよ
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