10月5日に11回目の命日を迎えたアップル社共同創業者の1人であるスティーブ・ジョブズ(1955~2011)は、日本びいきで知られる。特に京都を愛し、京都市中京区にある「俵屋旅館」を定宿とした。俵屋の部屋係が残したジョブズの食の好みにまつわる貴重なメモを読み解く。【柳田由紀子/アメリカ在住ライター】 【写真7枚】ジョブズの定宿だった俵屋旅館の客室や食事(1泊2食付・2人利用の場合の1人あたり・税、サービス料込56925円~) 「ジョブズとレストランに行くのは苦痛だった」 自社製品に一切の妥協を許さず、完璧を追求したスティーブ・ジョブズ。その過剰なまでの情熱は時に「現実歪曲フィールド」と周囲の者から揶揄されたが、ジョブズ、食にもうるさい人だった。若い頃からのベジタリアンで極端な性格の彼は、一時期、りんごとにんじんしか口にしなかったこともある。外食先でのお小言は日常茶飯で、「まずい!」と供され