多様な声を運営に反映 学術のガバナンス(統治)が節目を迎えている。国立大学の法人化から20年がたち、各種調査が示す改革の成果は芳しくない。競争原理と政策誘導で大学の経営を導いてきたが、多様なステークホルダー(利害関係者)と重要業績評価指標(KPI)に囲まれて身動きが取れなくなりつつある。学長の強権化に伴う副作用を指摘する声も上がる。法改正で規模の大きな大学では法人運営を監督する運営方針会議が設置される。これに類する仕組みが日本学術会議にも適用されようとしている。大学と国立研究開発法人などの役割分担を再考する時期にきている。(2回連載) 「ほとんど効果がないか、あってもわずか。いくつかの政策は負の効果を及ぼしている」―。鈴鹿医療科学大学の豊田長康学長は指摘する。国立大法人化などの影響を分析した。対象とした政策は四つ。2004年までの国家公務員総定員法と大学院重点化、04年からの国立大法人化、