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  • 6歳のとき、友達のマホちゃんが誰も履いていないようなフリフリのスカート..

    6歳のとき、友達のマホちゃんが誰も履いていないようなフリフリのスカートを履いていた。みんなは可愛いねと言ったけど私は変だと思ったから、変だねと言った。マホちゃんは怒って泣いた。 8歳のとき、父親が知らない女の人といるのを見た。私はそれを浮気だと思ったから、晩御飯のとき二人にそれを伝えたら、数カ月後、両親は離婚した。母親は一言私に、アンタのせいよとだけ言って、それ以来父親の話をしなくなった。 14歳のとき、マホちゃんが好きだと言っていた先輩に告白された。マホちゃんがあなたの事好きらしいので、と断った。それを伝えたら、マホちゃんは怒って泣いた。 16歳のとき、初めてのバイト先で品出しをしていたらパートの人からバックヤードに呼び出された。私の品出しの仕方が間違っていると話し始めた。私は慌てて商品のところに行って、直してから退勤した。それ以来パートの人から無視されるようになった。 18歳のとき、美

      6歳のとき、友達のマホちゃんが誰も履いていないようなフリフリのスカート..
    • CAさんがさっきから|後谷戸

      CAさんがさっきから「お客様の中に云々」と言っているのでイヤホンを取って耳を澄ませると、「お客様の中に機長のお父様はいらっしゃいますか」と言う。いるわけないだろと思ったけれども、そういえばおれは機長のお父さんだったような気がしてきたので「父かもしれません」と名乗りあげると、「それはよかった、こちらです」と操縦室に案内された。 ドアをノックして「父だが」と操縦室に入っていくと、おれよりも明らかに年上の機長がぽかんとした顔で「お父さんですか……?」と尋ねてくるので、改めて「父だが?」と名乗りを上げたのだけれども、「本当にお父さんですか?」と不安そうな機長。 そんな顔をするんじゃない。べつに確信があってやってきたわけじゃないんだから、自信がなくなってくるじゃないかと心配になる。でもここでくじけてはいけないなと気を取り直し「本当に父だが」と断言すると、機長は「良かった。運転中に不安になってしまって

        CAさんがさっきから|後谷戸
      • 腫瘍を取ったら姉だった話

        過去にね お腹がすごく痛くなったことがあるんです なんていうか圧迫感っていうか 体を折り曲げるとテニスボールを挟んでいるような違和感があって それでまぁ我慢できなくてかかりつけ医のところに行ったんです そうしたら難しい顔されて あれよあれよという間に大学病院に連れて行かれて腫瘍ができてるから手術するよって それで取ったんです 腫瘍 わたしどうしても腫瘍っていうのが見てみたくて 必死にしつこくお願いして見せてもらったんです 腫瘍はなんというか モッツラレラチーズをカマンベールチーズ色にして赤い血を浴びせたようなそういう見た目でした そんで 中に何が入ってるか調べるっていうんで それも見せて欲しいって言ったんです そうしたらね まあ面倒そうに口元ひん曲げながら銀色のトレーに中身を入れてずいっと差し出してくれてね 中には髪の毛の束と小さな歯か骨のカケラが入っていました わたしが元母親(縁切りして

          腫瘍を取ったら姉だった話
        • 「怒りだけで書きました」芥川賞・市川沙央が贈呈式で語ったこと【全文掲載】

          第169回芥川賞・直木賞の贈呈式が2023年8月25日、都内で開かれた。 重度障がい者の女性が主人公の小説『ハンチバック』で芥川賞を受賞した市川沙央(いちかわ・さおう)さんは、あいさつで、障がいの有無に関係なく読書ができる「読書バリアフリー」について「新ためて環境整備をお願いしたい」と訴えた。 その上で芥川賞受賞作について、「私の懇願の手紙をスルーした出版界」への怒りで書いた作品をだと述べ、「怒りの作家から愛の作家になれるように頑張りたい」とあいさつを締めくくった。 直木賞は垣根涼介さんの『極楽征夷大将軍』と、永井紗耶子さんの『木挽町のあだ討ち』が受賞した。 市川さんの贈呈式でのあいさつの全文(※適宜表現を替えた部分があり、一部、聞き取れなかった箇所があります) 私はしゃべると炎上するので、気をつけたいと思います。昨日も物議を醸していました。受賞会見で叩かれ、(注:NHKの番組)『バリバラ

            「怒りだけで書きました」芥川賞・市川沙央が贈呈式で語ったこと【全文掲載】
          • 東京の人、美術館にすぐいけるって言うわりに、具体的に好きな画家や写真..

            東京の人、美術館にすぐいけるって言うわりに、具体的に好きな画家や写真家、彫刻家の話は出ない 大きい本屋や図書館が充実してるっていうわりに、本の話題はラノベしか漫画しか出ない イベントにしょっちゅういける、ライブハウスがたくさんあるっていうけど、話題になるのはせいぜいオタクライブ 文化資本にアクセスしやすい=文化資本があるではないんだよな 家にギターがあってもギターが弾けないみたいな感じ 追記ブコメでいっぱいイキってる人が出てきて良いもの見せてもらったって感じある よかった。

              東京の人、美術館にすぐいけるって言うわりに、具体的に好きな画家や写真..
            • みんなが好きな「『百年の孤独』みたいな大河小説」ベスト10|秋永真琴

              『百年の孤独』のような「ある一族の数世代の歴史を描く大河小説」でみなさんが好きな作品は何ですか? 私が真っ先に思いつくのは、桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』。高山羽根子『暗闇にレンズ』もよかった。あと人じゃなくて犬だけど、古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』 — 秋永真琴 / Makoto AKINAGA (@makoto_akinaga) June 30, 2024 文庫化がたいへん話題になっている『百年の孤独』にちなみ、Twitterでこんなことを言ってみたら、ひと晩で100作を超える作品が集まってきて頭を抱えている。 もちろん反応があるのは嬉しいけど、ここまでとは思わなかった。どうしよう。せっかく皆さんが教えてくれたのに、私が見て「いいね」をつけて楽しむだけではもったいない気がする。 なので、リストアップして、数の多い順に並べることにした。 2024年6月30日の9時47分(ツイートした時

                みんなが好きな「『百年の孤独』みたいな大河小説」ベスト10|秋永真琴
              • 日本文化が大好きなベトナム人留学生に「聞きたいことがある」と言われ二つ返事でOK→質問の内容に血の気が引いた話

                みねるば @minerva_owl1 ベトナム人の留学生から「私日本文化が大好きです!聞きたいことがあるんですけどいいですか?」と聞かれ、「もちろんいいですよ!(アニメや漫画とかかな?)」と答えたのですが、「岡倉天心の『茶の本』についてなんですけど」と言われ、血の気がサーッと引くのを感じました。それで 2023-12-05 18:38:44 みねるば @minerva_owl1 『東洋の理想』の方はギリ読んだことがあったので、そちらの知識で答えられたのですが、宮沢賢治の話を振られた時は恥ずかしながら全然読んだこと無かったので、タジタジになってしまいました。色々と文化の話をしたのですが、彼女が言うには 2023-12-05 18:39:06

                  日本文化が大好きなベトナム人留学生に「聞きたいことがある」と言われ二つ返事でOK→質問の内容に血の気が引いた話
                • 「雑誌にふさわしくない作品…ガンダムなどの掲載は断った。今も後悔はない」SFマガジンの元編集長が語る。 - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

                  昔話16 私は石頭なんだろう、SFマガジンにふさわしくないと思うと売れっ子作家の作品でも掲載しなかった。栗本薫の「時の石」、高千穂遙の「変態の方程式」、梶尾真治の「包茎牧場の決闘」等々。そればかりかガンダムまで掲載を断った。後でいろいろ言われたけど、いまでも間違ったとは思ってない。— 今岡清 (@k_imaoka) August 8, 2023 SFマガジン編集長回想 ガンダムですら私は拒否した。今も間違ってるとは思わない実在した! 「ニンジャ」や「パンをくわえて登校する女の子」と同じく「偏狭なSFファン」もどこかにいてほしいもの(そうか?) m-dojo.hatenadiary.com あの当時は、それが正義だった。それがSFだった…のだろう、おそらく。 「飛鳥川 昨日の淵は 今日の瀬と 変わる習ひを我が身にぞ見む」(長野主膳辞世の句) とは、いまに通じる普遍性を持つ詩だ。 風雲児たち 

                    「雑誌にふさわしくない作品…ガンダムなどの掲載は断った。今も後悔はない」SFマガジンの元編集長が語る。 - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
                  • 6年同棲しとった女が十数年ぶりに夢に出てきた

                    【追記】 ブクマですげー怒られててこわい。 もちろん今は隠し事してた俺も悪いって思ってるけど、あそこまでショック受けるとは思わなかったしデマがあっという間に広まって当時は冷静な判断が出来なかったんだよ。 あといくらキモいからって人の顔見て吐き真似してキモがるの本当にやめろマジで。 【再追記】 なんか二回も結婚してる設定にされてるけど一回もしてねえよw どっちも結婚直前まで関係を深めたけど一人目は仕事が忙しくて全然会えない時期が続いて振られる、二人目はパンデミックの最中に反ワクかつ中国大嫌いなネトウヨになっちゃって、色々話し合った結果価値観が合わないねって別れたんだよ。俺は中国と台湾のアート市場に凄い可能性を感じてるんで。 特に二人目の人は画家やってて俺のビジネスパートナーでもあり、一緒に個展を企画開催したり画集の出版までしたのにあんなことになって本当に残念だわ。 【再々追記】 いや、なんか

                      6年同棲しとった女が十数年ぶりに夢に出てきた
                    • 青くてエモい「ブルーライト文芸」大ブームの理由

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                        青くてエモい「ブルーライト文芸」大ブームの理由
                      • 右も左もない「読書バリアフリー」 芥川賞 の市川沙央さんが本紙に寄稿

                        作者と同じ難病の重度障害者女性を主人公として、健常者の特権性や多様性の意味を問いかける作品「ハンチバック」で第169回芥川賞を射止めた市川沙央さんが、産経新聞に「読書バリアフリー」について寄稿した。全文は以下の通り。 ◇ 電気式人工咽頭という機器がある。手のひらに収まる筒状の機器の先を喉元に当てて口を動かすと、声帯を切除した人や気管切開していて発声できない人でも、電子音で喋(しゃべ)ることができる生活補助具だ。ステレオタイプの宇宙人の声のような抑揚のない音だが、コツを掴(つか)めば電話もかけられるほど明瞭に話せるようになる。現在でもさまざまな病気で声を出せない人がこの電気式人工咽頭を使っている。 元々は第二次世界大戦において戦傷を受けて声帯を失った人々のため、アメリカで開発されたものである。戦後の日本にも同様の戦傷障害を抱えた人は多くいただろうが、彼らに社会がどのように報いたのか私は知らな

                          右も左もない「読書バリアフリー」 芥川賞 の市川沙央さんが本紙に寄稿
                        • 小学生の娘が「変な家という本が面白かったから映画を観に行きたい」というので連れて行ったら原作と全然違うらしく泣きそうになってた

                          藤原 @fj_wr_ 小学生の娘が「変な家という本が面白かったから映画を観に行きたい」というので、珍しいのを観たがるもんだなぁと思いつつ行ってきたら、リングと因習村とホラーYouTubeと蛆虫とチェーンソー振り回し老婆と猟銃ぶっぱなし高嶋政伸を混ぜてこね合わせたみたいな話で娘が泣きそうになってた 2024-03-16 15:57:18

                            小学生の娘が「変な家という本が面白かったから映画を観に行きたい」というので連れて行ったら原作と全然違うらしく泣きそうになってた
                          • 第171回芥川賞・直木賞の候補作発表 | NHK

                            第171回芥川賞・直木賞の候補作が発表され、直木賞ではSNSに小説を投稿して話題を集める麻布競馬場さんの作品が初めて候補に選ばれました。 芥川賞の候補作に選ばれたのは、 ▽朝比奈秋さんの「サンショウウオの四十九日」 ▽ミュージシャンとしても活動する尾崎世界観さんの「転の声」 ▽坂崎かおるさんの「海岸通り」 ▽向坂くじらさんの「いなくなくならなくならないで」 ▽松永K三蔵さんの「バリ山行」 の5作品です。 朝比奈さん、坂崎さん、向坂さん、松永さんは初めて候補に選ばれ、尾崎さんは2回目の候補です。 一方、直木賞の候補作には ▽青崎有吾さんの「地雷グリコ」 ▽SNSに小説を投稿して話題を集める麻布競馬場さんの「令和元年の人生ゲーム」 ▽一穂ミチさんの「ツミデミック」 ▽岩井圭也さんの「われは熊楠」 ▽柚木麻子さんの「あいにくあんたのためじゃない」 の5作品が選ばれました。 青崎さん、麻布さん、岩

                              第171回芥川賞・直木賞の候補作発表 | NHK
                            • 谷崎潤一郎や芥川龍之介らが校正家に宛てた書簡 約200通が発見 | NHK

                              谷崎潤一郎や芥川龍之介ら大正から昭和にかけて活躍した文豪が、当時の出版関係者に宛てたおよそ200通の書簡が残されていることが分かりました。調査にあたった専門家は、「著名な作家たちの未発表の書簡がまとまって見つかることは珍しい。作家の人間関係や出版事情などが分かる資料だ」としています。 書簡は、原稿の修正や事実確認を専門に行う「校正家」の神代種亮(こうじろ・たねすけ)に宛てられたもので、孫の聡さんが保管していました。 書簡の送り主は谷崎潤一郎や芥川龍之介、佐藤春夫など、大正から昭和にかけて活躍したおよそ20人の作家らで、あわせて200通余りに上ります。 このうち谷崎の書簡は25通あり、大正13年9月に送ったものには、自身の著作を刊行するにあたり、「菊判」と呼ばれる比較的大型のサイズでの出版を希望したのに対し、出版社がそれよりも小さく流通量の多い「四六判」というサイズで出版しようとしていること

                                谷崎潤一郎や芥川龍之介らが校正家に宛てた書簡 約200通が発見 | NHK
                              • 内田百けんの代表作「阿房列車」の自筆原稿 新たに見つかる | NHK

                                岡山市出身の作家、内田百※けんの代表作、「阿房列車(あほうれっしゃ)」の自筆原稿が新たに見つかり、市内の文学館に寄贈されました。 ※けんの漢字は、門がまえの中が「月」 見つかったのは、内田百けんが鉄道に乗ることのみを目的に全国各地を訪れ、その道中をユーモアあふれる筆致で記した代表作「阿房列車」シリーズのうち、島根県の松江を訪れた「山陰本線阿房列車」と、一連の旅の最後で九州を訪れた「不知火阿房列車」の自筆原稿あわせて243枚です。 岡山市北区の吉備路文学館によりますと、ことし10月、青森市の女性から「百けんの原稿があるので、出身地の岡山に寄贈したい」と連絡があり、鑑定したところ自筆原稿だとわかりました。 原稿は、白地にオレンジ色のマス目の旧国鉄の用紙に書かれ、右上を紐でくくった状態で保存されています。 百けんが文章を書いたあと、ことばを繰り返し推こうした跡が残されていて、1枚目の用紙には原文

                                  内田百けんの代表作「阿房列車」の自筆原稿 新たに見つかる | NHK
                                • 命綱の本が紙クズに変わる時 芥川賞「ハンチバック」が問うマチズモ:朝日新聞デジタル

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                                    命綱の本が紙クズに変わる時 芥川賞「ハンチバック」が問うマチズモ:朝日新聞デジタル
                                  • 『俳句歳時記』の“気象俳句”を気象予報士と考察する

                                    俳句で使われる季語だけを集めた『俳句歳時記』という書籍がいくつも出ている。 季語は「季節を表す言葉」だけあり、気象に関する季語と俳句も多く載っている。 この俳句歳時記に載っている気象に関する季語と、気象俳句を、気象予報士と一緒に鑑賞してみたい。 超絶シブい記事です、すみません。 まずはいちおう念のため、俳句と季語について解説しておきたい。 俳句には、文字数を五・七・五、または17音にまとめる。切れ字(切れとも、句中で詠嘆する部分、「や」、「かな」、「けり」などの文字)を入れる。季語を入れるなどのルールがある。 俳句を作るうえで、文字数や切れは自分で調整ができるものの、季語に関しては、使おうとしているその言葉が、季語かどうか、季語であればいつの季節の言葉なのかを調べる必要がある。 その便宜を図る目的で、季語と実際にその季語を使用した俳句を収録した本が『歳時記』や『俳句歳時記』などの名称でいく

                                      『俳句歳時記』の“気象俳句”を気象予報士と考察する
                                    • 藤原定家直筆の「古今和歌集」注釈書を発見 専門家「国宝に値」 | 毎日新聞

                                      冷泉家に伝わる古今伝授箱から見つかった藤原定家直筆の「顕注密勘」=京都市上京区で2024年4月16日、加古信志撮影 鎌倉初期を代表する歌人、藤原定家(1162~1241年)が自筆した「古今和歌集」の注釈書「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」の原本が見つかった。子孫の冷泉家(京都市上京区)で保管する木箱を約130年ぶりに開けたところ、収められていた。同書の写本の中には国重要文化財に指定されているものもあり、原本について専門家は「国宝に値する」と評価している。 定家らの古典籍を研究・保存する冷泉家時雨亭文庫が発表した。 顕注密勘は、最初の勅選和歌集・古今和歌集について和歌の先人による注釈に、定家が自説を書き加えた注釈書。上・中・下の3巻からなる。木箱にあった3巻のうち中・下巻が、筆跡や紙の製法などから原本と判断された。上巻の原本は火災で焼失したと伝わっており、同時に見つかったものは写本だった。

                                        藤原定家直筆の「古今和歌集」注釈書を発見 専門家「国宝に値」 | 毎日新聞
                                      • ライトノベルの始まりの頃。1970年代起源説は間違い

                                        ライトノベル、つまり若者向けのエンタメ小説は、コバルト文庫やソノラマ文庫が登場した1970年代に生まれたと言われてるんですが、コバルト文庫にはコバルト・ブックス、ソノラマ文庫にはサンヤングシリーズとそれぞれの前身に当たるレーベルが1960年代に登場しているんですよ。普通に考えれば、ライトノベルの起源は1960年代まで遡れる。 誰ですか? 1970年代がライトノベルの始まりと間違ったことを言い出した人は?? もちろん、1960年代に登場した若者向けの小説はあくまで源流であって、段階を経てライトノベルらしくなっていきます。 1966年 若者向け小説の登場 ← 『小説ジュニア』創刊 1969年 アニメ・漫画の影響が強くなる ← サンヤングシリーズ創刊 1976年 文庫レーベル化 ← コバルト文庫&ソノラマ文庫創刊 1977年 新時代の作家の登場 ← 氷室冴子&高千穂遙デビュー 1986年 ゲーム

                                          ライトノベルの始まりの頃。1970年代起源説は間違い
                                        • 本屋大賞「成瀬は天下を取りにいく」の膳所 西武大津店跡地は今… | 毎日新聞

                                          「最近、文学界で大津が来てる」――。先月、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」が本屋大賞を受賞。大津城の戦いを描いた今村翔吾さんの「塞王の楯」が2022年に直木賞を取った時に抱いた自信が確信に変わった。だが、ちょっと地味な大津を読者はどれだけご存じなのか。ここは一番、大津在住30年の記者が紹介せねばなるまい。そう考えて「成瀬」の舞台・膳所を歩いた。【山本直】 膳所は「ぜぜ」と読む。平安時代に魚介類を朝廷の食膳に供給する所だったことに由来するらしい。大津市は県庁所在地なのに「中核」といえる繁華街がなく、大津、浜大津、石山、瀬田などにこぢんまりした盛り場がある。膳所もその一つ。JR東海道線と京阪が乗り入れているので便利だが、JRの新快速は大津と石山に止まってはざまの膳所は飛ばす。

                                            本屋大賞「成瀬は天下を取りにいく」の膳所 西武大津店跡地は今… | 毎日新聞
                                          • 特集ワイド:「つまらない」北朝鮮文学を邦訳した研究者 南北分断期、埋めなくては | 毎日新聞

                                            「友」を翻訳した富山大学准教授の和田とも美さん。本棚には北朝鮮の文学作品などが約200冊並んでいる=富山市の富山大学で2023年10月27日午後3時46分、萱原健一撮影 北朝鮮で生きる人々の暮らしを描いた文学作品「友」の邦訳が今春、出版された。時代は、国民生活をなおざりにしてミサイル・核開発に突き進む前の1980年代。訳者の富山大学准教授、和田とも美さん(53)に評価を聞くと、「つまらない」とキッパリと答えた。ではなぜ翻訳を引き受けたのか。 筆者は49年生まれの白南龍(ペクナムリョン)で、訳書は今年3月に小学館から出版された。南北分断後に生まれた北朝鮮在住の作家の文学作品が日本の出版社から出されるのは極めて異例という。 圧政下のソ連時代、同時代人を勇気づけた抵抗の地下文学があったが、北朝鮮にはないのだろうか。そんな疑問を私は長らく持っていた。「友」は地下文学ではないが、80年代の地方都市に

                                              特集ワイド:「つまらない」北朝鮮文学を邦訳した研究者 南北分断期、埋めなくては | 毎日新聞
                                            • 滋賀県立図書館が児童書「全点購入」を続けるワケは? 「子どもの文化」35年以上も下支え|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞

                                              滋賀県立図書館(大津市)が、国内で刊行されている児童書の「全点購入」を始めて35年以上になる。かつては全国の都道府県立図書館で唯一の取り組みであり、県の財政難に伴って図書費が減る中でも事業を継続してきた。豊富な資料がそろい、一般向けの貸し出しだけでなく、地域の図書館関係者や読書ボランティアが

                                                滋賀県立図書館が児童書「全点購入」を続けるワケは? 「子どもの文化」35年以上も下支え|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞
                                              • パレスチナ人詩人Refaat Alareer氏、ガザの空爆で死亡

                                                Refaat Alareer氏がXで発表した詩「もし私が死ななければならないなら(If I must die)」は何万回もシェアされた。(提供) Alareer氏はガザのイスラム大学で英文学の教授を務め、シェークスピアなどを教えていた ガザ:みずからの体験を英語で書くことを選択した若い作家たちのリーダーの1人であったパレスチナ人詩人Refaat Alareer氏がイスラエル軍の空爆で死亡したと7日夜、友人たちが語った。 「私の心は傷ついている。友人であり同僚のRefaat Alareer氏が数分前に家族と殺された」と、友人でガザの詩人Mosab Abu Toha氏はフェイスブックに投稿。 「信じたくない。私たちは一緒にイチゴを摘むのが大好きだった」 ハマス当局によると、イスラエルは7日夕方、ガザ地区北部でさらなる空爆を行った。 Alareer氏は、イスラエルが10月に地上攻撃を開始した数日

                                                  パレスチナ人詩人Refaat Alareer氏、ガザの空爆で死亡
                                                • 今なお人々を魅了 橋本治の世界 横浜で特別展/『はじめての橋本治論』刊行 | 毎日新聞

                                                  膨大な仕事、豊富な資料で 横浜で特別展 ポスターや生原稿など450点 小説や古典の新訳、戯曲、社会時評、イラスト、編み物と幅広い分野で活躍した橋本治さん(1948~2019年)の仕事を振り返る特別展「帰って来た橋本治展」が、神奈川近代文学館(横浜市中区)で開催されている。6月2日まで。 構成は、橋本治とその時代▽作家のおしごと▽橋本美術館――の3章立て。<とめてくれるなおっかさん/背中のいちょうが泣いている/男東大どこへ行く>のキャッチコピーで一躍注目を浴びた東京大駒場祭のポスター(68年)の原画をはじめ、衝撃の小説デビュー作「桃尻娘」(77年)、400字詰め原稿用紙で9000枚弱の大作「双調平家物語」(98~07年)などの生原稿、スター歌手の姿を編みこんだ鮮やかなセーターや歌舞伎をモチーフにした挿画、さらには母親が開いた喫茶店の自筆メニューもある。約450点が展示され、橋本治さんの生涯を

                                                    今なお人々を魅了 橋本治の世界 横浜で特別展/『はじめての橋本治論』刊行 | 毎日新聞
                                                  • <土曜訪問>文学の営み 次代へ 12年務めた芥川賞選考委員を退任 堀江敏幸さん(作家):東京新聞 TOKYO Web

                                                    半年に1度の芥川賞の発表時、雑誌『文芸春秋』には選考委員による選評が掲載される。その中で、いつも最後に置かれる堀江敏幸さん(60)の文章は異彩を放っていた。他の評のように候補作同士の優劣は明確にせず、各作品への言及が、鍵となる言葉の受け渡しによって有機的につながる。まるで一編のエッセーのような読後感があり、毎回楽しみにしていた。このほど12年(24回)務めた委員を退任するのを機に、早稲田大(東京都新宿区)の研究室を訪ねた。 「最初に選考委員の話があった時は一度お断りしたんです。自分よりふさわしい方がいるはずだと」。うずたかく積まれた本の山の間で、堀江さんはそう振り返る。「次の委員が出てくるまでのつなぎという気持ちでした。でも気づけば干支(えと)が一回り。あっという間の12年間でした」 選考を重ね、その「つなぎ」という言葉の意味が変わっていった。「作品のためにこれだけ真剣に議論する場があるん

                                                      <土曜訪問>文学の営み 次代へ 12年務めた芥川賞選考委員を退任 堀江敏幸さん(作家):東京新聞 TOKYO Web
                                                    • 東大名誉教授・亀井俊介さん死去、91歳…「アメリカン・ヒーローの系譜」で大佛次郎賞

                                                      【読売新聞】 大衆文化を含めた幅広い視野から、ユニークなアメリカ文学研究や比較文学研究を展開した東京大名誉教授の亀井俊介(かめい・しゅんすけ)さんが18日、病気で死去した。91歳。告別式は近親者で済ませた。喪主は長男、類さん。 岐阜

                                                        東大名誉教授・亀井俊介さん死去、91歳…「アメリカン・ヒーローの系譜」で大佛次郎賞
                                                      • 『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』刊行記念対談   澤田直×山本貴光「人はなぜペソアに惹かれるのか」 | 集英社 文芸ステーション

                                                        ポルトガルの国民的詩人フェルナンド・ペソア。自分とは人格の異なる人物を何人も創造し、書き分けたその多面的な作品は、タブッキ、ボルヘス、ヴェンダースなど多くの芸術家を魅了し、詩群誕生一世紀に及ぶ今日ますます輝きを増している。 長年ペソア作品を日本で紹介してきた澤田直氏がこのほど『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』を上梓したことを機に、自身もペソアに深く魅せられてきた文筆家でゲーム作家の山本貴光氏が、その創造世界について著者の澤田氏と語り合った。 構成/長瀬海 撮影/中野義樹 山本 ペソアが書いたものとはじめて出会って以来、ずっと大好きで繰り返し読んできました。澤田さんが「すばる」でペソア伝の連載を始めたときは本当に嬉しくて、毎号真っ先に読んでいました。今回、本のかたちになって欣喜雀躍しています。とはいえ、私はペソア研究者でもなければ、文学の研究者でさえありません。今日は一人の愛読者と

                                                          『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』刊行記念対談   澤田直×山本貴光「人はなぜペソアに惹かれるのか」 | 集英社 文芸ステーション
                                                        • 【文庫解説】大正時代の「奥座敷」──永井荷風『断腸亭日乗 第一巻』より

                                                          『断腸亭日乗』は、明治・大正・昭和三代に渉る文豪・荷風(1879-1959)の日記です。大正6年(1917)9月16日から昭和34年(1959)4月29日、逝去の前日まで41年間、書き継がれました。日々折々に捉えた自然、人物、社会風俗、政治観が、洗練さと雅味に富み、同時に鋭利な批判を込めた見事な日本語で綴られます。近代日本の辿った歴史を見詰め続けた一人の文学者・文明批評家による稀有の証言録でもあります。荷風の自筆稿自体が、重要な日本の文化財の一つであります。永年にわたり、岩波書店は日記の自筆稿を精査・校訂、大古典の本文を全集として護ってきました。今回、日記の全文・フルカウント版を、初めての詳細な注解を中島国彦先生、多田蔵人先生が付して、岩波文庫全9冊として刊行を開始いたします。第九巻には、全体の「索引」(中村良衛・多田蔵人編)をつけます。 【全巻目次】 第一巻 大正六(一九一七)年―十四(

                                                            【文庫解説】大正時代の「奥座敷」──永井荷風『断腸亭日乗 第一巻』より
                                                          • 山村暮鳥関連文献リスト

                                                            LAST UPDATED : 2004/09/05 作成者:竹本 寛秋 単行本 関俊治『暮鳥・拓次・恭次郎』みやま文庫 1978 雑誌論文 沢田 弘明「朽葉と拓次」『位置』1962/11/1 沢田 弘明「大手拓次の世界」『位置』 1963/10/1 沢田 弘明「大手拓次の世界(Ⅱ)「藍色の蟇」以前」『位置』1964/4/1 沢田 弘明「大手拓次の世界(Ⅲ)フランス近代詩との出会いを中心に」『位置』 1964/11/1 沢田 弘明「大手拓次の世界(Ⅳ)」位置1966/11/1 沢田 弘明「相馬御風と大手拓次 -口語自由詩運動の一面」『国語国文研究』21 沢田 弘明「大手拓次評価上の問題点 -『詩画集 蛇の花嫁』と『詩日記と手紙』をめぐって」『 国語国文研究』18.19 川西 健介「北村透谷と大手拓次」『ユリイカ』1971/1/1 窪田 般彌「拓次とボードレール」『ユリイカ』1971/1/1

                                                            • 神奈川近代文学館「帰って来た橋本治展」(下) ふざけてマトモな桃尻語訳 連載 | カナロコ by 神奈川新聞

                                                              「桃尻娘」で作家デビューし、続いて少女漫画評論集「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」を世に問うた橋本治は突然気が付いた─「平安朝の女流文学は少女マンガである」。 映像プロデューサー・浦谷年良は橋本が「をかし」は「カッコいい」、「あはれ」は「ジーンときちゃう」と解説するのを聞いて衝撃を受け、「枕草子」の現代語訳を熱望した。〈大胆不敵〉でありながら〈精緻〉な「桃尻語訳 枕草子」はこうして生まれた。 〈大胆不敵〉とは桃尻語という橋本の生み出した言葉に訳したこと。大島弓子らによる1980年前後の革新的少女漫画と平安時代に花開いた女流文学とは、男社会における女の表現の姿勢として同質だと橋本は看破した。清少納言はナウいキャリアウーマンだったのだから、少女漫画に取材した桃尻娘の言葉で訳せるはず、との仮定からスタートする。 〈精緻〉とは原文を厳密に一字一句、桃尻語に置き換えたこと。勢いで意訳したのではなく、

                                                                神奈川近代文学館「帰って来た橋本治展」(下) ふざけてマトモな桃尻語訳 連載 | カナロコ by 神奈川新聞
                                                              • 「とめてくれるなおっかさん」「昭和枯れすゝき」から自作のセーターまで “型破り”な作家・橋本治のユニークな展覧会が開催中(全文) | デイリー新潮

                                                                作家のものとは思えない展示物 3月30日から横浜市の神奈川近代文学館で開催されている「帰って来た橋本治展」。展示された約450点の作品群は、5年前に70歳で亡くなった橋本さんの魅力が満載だ。橋本治さんが遺したマルチな“表現”とは。 *** 【写真を見る】作家の回顧展とは思えない異色の展示品たち 小説家の回顧展といえば、著者近影の大型パネルに、代表作の生原稿、そして数々の受賞歴を記した年譜の展示が相場だが、この方の場合、手編みのセーターやポスター、切り絵、絵画など、およそ作家のものとは思えない多様な展示物で溢れている。 橋本さんの名前が最初に世に出たのは、東京大学在学中、2年生の時に作成した駒場祭のポスターだ。 任侠映画風のポスターの「とめてくれるな/おっかさん/背中のいちょうが/泣いている/男東大どこへ行く」の粋なキャッチフレーズは今読んでも格好いい。東大生のお堅いイメージを覆すしゃれの利

                                                                  「とめてくれるなおっかさん」「昭和枯れすゝき」から自作のセーターまで “型破り”な作家・橋本治のユニークな展覧会が開催中(全文) | デイリー新潮
                                                                • 「金色夜叉」の直筆原稿、孫弟子の遺品から見つかる…激しい推敲跡に専門家「紅葉の入念な執筆うかがえる」

                                                                  【読売新聞】 明治期の読売新聞に連載され、 絢爛 ( けんらん ) たる文体で当時の世相と男女の愛憎を描いた尾崎紅葉の代表作「 金色夜叉 ( こんじきやしゃ ) 」の直筆原稿の一部が確認された。複数の 推敲 ( すいこう ) した跡

                                                                    「金色夜叉」の直筆原稿、孫弟子の遺品から見つかる…激しい推敲跡に専門家「紅葉の入念な執筆うかがえる」
                                                                  • プロレタリア文化運動の光芒

                                                                    〈プロレタリア文化運動の光芒〉とは何か? 「プロレタリア文化運動の光芒」と題した本展の意図は、おもに2点ある。1つは、これまでの日本近代文学史において大書されるいわゆる〈プロレタリア文学〉に限定せず、広く文化運動として捉え、世界の藝術運動との同時性を描くこと、2つに、これまでのプロレタリア文学史というと、その期間は普通1922、3年から始まり1933、4年頃まで、つまり関東大震災前後から文化運動組織の解体までとするが、本展は第1次世界大戦前後の世界の藝術革命と連動させることで始め、終りの時期は、1932年以降の転向期から37年のいわゆる日中戦争以後、わずかな例外を除いて、時代に吸収されていく経緯を対象とすることにある。 この間プロレタリア文化運動は様々な曲折があったが、その曲折の時期は戦争の始動の時期と明らかな対応がある。本展はそのことにも着目した。第1部の第1次世界大戦を除いて、プロレタ

                                                                    • 失われた本を求めて 鏡のテオーリア 多田智満子

                                                                      鏡のテオーリア 多田智満子 1977年2月20日発行(増補版) 大和書房刊 196ページ 目次 第一部 鏡のテオーリア SPECULUM DE SPECULO 序/歩む鏡/向きあった鏡/見ることは見られること/まなざし/見ることは驚くこと/鏡の威光/鏡の迷宮/水鏡/大円鏡/因陀羅網/ 第二部 鏡をめぐる断章 DE SPECULO QUOLIBET 眼の月/アルキメデスの凹面鏡/バックミラー考/世界の鏡/水鏡のエロス/鏡の墓碑銘/仏の鏡像/鏡と唐の詩人たち/影を失った男たち/神仙の鏡/跋 「それにしても、鏡とは、いかにも智満子さんの観照にぴったりのテーマだと思わざることを得ない。鏡のイメージは、それ自身、詩的であって哲学的であり、魔術的であって遊戯的であり、心理的であって物理的であり、神話的であって日常的であり、永遠的であって瞬間的であり、古典的であってデカダン的であるからだ。そして詩人とし

                                                                      • 本についての詩集 | みすず書房

                                                                        92人の92篇の詩と断章を、本の世界を語らせては第一級の詩人、長田弘が選び出して編んだアンソロジー。日本では中島敦、金子光晴から松浦寿輝まで、外国ではツェラン、ボルヘスたちが、書物や作家を名指して書いたゆたかな詩の数々が一巻に。選者の言を聞こう。「この本についての詩集に収めた詩を読んで覚えるのは、どう言ってもかまわない物言いにはない、その名でなければならない具体的な名というものがそなえる、深々とした喚起力です。アリストファネスという一語、ファーブルという一語、チェーホフという一語が、それだけでその全体を喚起してしまう。本についての詩集のどの一篇からも伝わってくるのは、固有名の秘めもつ言葉の力です。…〈二十世紀以後の詩〉の詞華集をつくりたいと、ずっと思ってきました。詩を必要とし、言葉を軽んぜず、なお本を愛する人びとに、今、この一冊を献じます。」 長田弘 世界は一冊の本  …序詩として 中島敦

                                                                        • 永井荷風の日記、時代批評を後世に 「断腸亭日乗」全文を初文庫化 岩波書店刊行へ

                                                                          小説「濹東綺譚」や「ふらんす物語」などで知られる作家、永井荷風(1879~1959年)の日記「断腸亭日乗」の全文が初めて文庫化され、岩波書店が今月から2年かけて全9巻を順次刊行する。大正、昭和、戦前戦後を見つめた荷風の時代批評でもあり、令和に改めて注目されそうだ。 「断腸亭日乗」は、荷風が37歳の大正6年9月16日から、79歳で亡くなる前日の昭和34年4月29日まで41年余り書き続けられた。天候や体調、食事、読書、執筆状況、交遊や文壇の人間模様、社会風俗、関東大震災、戦時体制下の様子など内容は広範囲で、時代を映す資料ともされてきた。 軍国主義化への嫌悪など過激な時局批判に身の危険を感じながら、「余の思ふところは寸毫も憚り恐るる事なくこれを筆にして後世史家の資料に供すべし」との決意も。終戦の昭和20年8月15日には「休戦の祝宴を張り皆々酔うて寝に就きぬ」とも記している。 岩波書店では荷風没後

                                                                            永井荷風の日記、時代批評を後世に 「断腸亭日乗」全文を初文庫化 岩波書店刊行へ
                                                                          • 神奈川近代文学館「帰って来た橋本治展」(上) 代表作は「桃尻娘」 連載 | カナロコ by 神奈川新聞

                                                                            橋本治が1977(昭和52)年に初めて書いた小説が、のちの代表作「桃尻娘」だった。女子高校生の一人語りで若者が日ごろ抱える社会への不満や悩み-妊娠や同性愛といったテーマに分け入り、それまでにないスタイルと内容で世間に衝撃を与える。同作はシリーズ化され、単行本6冊を刊行。桃尻娘・榊原玲奈と、3人の同級生-木川田源一、磯村薫、醒井(さめがい)凉子を主人公に、彼らが成長していく様子を、橋本は登場人物に寄り添いつつ書き進めた。 シリーズ6冊目「雨の温州蜜柑姫(おみかんひめ)」の主人公は醒井凉子。橋本が「うっとりするような美しいトンチンカン」と設定する凉子は、大学1年の夏、先輩の滝上圭介を好きになり妊娠、木川田が滝上に思いを寄せているとも知らず、滝上と仲のいい木川田に相談を持ちかける。衝撃を受け、傷つきながらも、木川田は凉子のため奔走するのだった(第2冊「その後の仁義なき桃尻娘」)。 「雨の温州蜜柑

                                                                              神奈川近代文学館「帰って来た橋本治展」(上) 代表作は「桃尻娘」 連載 | カナロコ by 神奈川新聞
                                                                            • 虫明亜呂無ふたたび|ちくま文庫|高崎 俊夫|webちくま

                                                                              PR誌「ちくま」(2023年8月号)に掲載された、虫明亜呂無『むしろ幻想が明快なのである――虫明亜呂無レトロスペクティブ』(ちくま文庫、7月刊)についての編者・高崎俊夫氏によるエッセイを公開いたします。なお、こちらの文章に一部誤りがございました。私どもの不手際でご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。謹んでお詫びし、訂正致します。当web版では修正し、文章の最後に訂正箇所を掲載しておりますので、ご確認いただけますと幸いです。 虫明亜呂無がいかに常軌を逸したスポーツ熱愛者であったかを示すエピソードがある。ひとつは彼が仲人を務めた小林信彦の結婚式で、仲人の身でありながら、途中で野球放送を聞きに消えてしまい、司会の永六輔が「あ、あ、帰ってきた。虫明さん、今、なん対なんですか?」と尋ねると、「ええ、3対3でございます」と平然と答え、永六輔が「ヘンな仲人!」と愕然とした話。もうひとつは自分の結婚式の

                                                                                虫明亜呂無ふたたび|ちくま文庫|高崎 俊夫|webちくま
                                                                              • 『任侠俳句―八九三の五七五』

                                                                                かつて任侠団体にも機関紙がありその中に投句欄があり、ヤクザの心情、体験をもとに詠んだ俳句が多数ありました。本書はそれらの中から昭和の匂いの漂うしかもリアリティある俳句を選句、それに俳句に造詣の深い二人の解説が加わり、味わい深い独特の俳句集となりました。

                                                                                • 『セツローさんの随筆』のこと

                                                                                  たくさんの きれいなものを うみだした人 セツローさんは1929年岡山生まれ。長く松山の病院でレントゲン技師として働きながら、洋画家として活動していました。その後、手が求めるまま野の草花をスケッチし、桜の枝からかんざしや匙、篦などを削り、手びねりの土人形など、小さく愛らしい作品を生みだし「セツローさん」の愛称で親しまれた方です。 (写真:河上展儀) セツローさんは高知在住の陶芸家・小野哲平さんのお父さまであり、布作家早川ユミさんの義父。私たちはアノニマ・スタジオ時代に早川ユミさんとの本づくりの中でセツローさんに出会い、作品以上にその人柄に惹かれました。軽妙、洒脱、そして含羞の人。一見素朴に見える作品の背景には自分にも人にも厳しい美意識、芸術への憧憬と信頼があるのは隠しようもありません。 毎年恒例になっている哲平さんの薪窯焚きのお手伝いに高知を訪ねた、ある夜のことでした。 「じつは私も文章を

                                                                                    『セツローさんの随筆』のこと