近年、多様性を認め合う共生社会を目指す動きが広がり、教育現場でも「インクルーシブ教育」や「ジェンダーギャップの解消」などが推進されている。しかし一方で、不平等を是正する取り組みに対して、「ずるい」「逆差別だ」といった声が上がる現状もある。差別の心理学について研究する上智大学外国語学部教授の出口真紀子氏は、多様性や共生を考えるうえでは「マジョリティの特権」という視点が重要だと語る。私たちが日常の中で気づきにくい、その特権の弊害や教育関係者が意識すべきことについて話を聞いた。 【チェックリスト】自分のマジョリティ性とマイノリティ性をチェックしてみよう。 ──「マジョリティの特権」とは、何を意味しているのでしょうか。 マジョリティの特権とは、たまたまマジョリティ側の社会集団に生まれてきたり、マジョリティ側の属性を持っていたりすることで、「労なくして得られる優位性」「自動的に受ける恩恵」を指します