光量子コンピュータをつくるためにどうしても必要なのに、理論のアイデア発表から20年以上、誰も成し得なかった「掛け算」。「私たち実験屋は理論屋の提案を見て、こんなのどうやったらできるんだ?と頭を悩ますのです」と、どこか嬉しそうに語る阪口 淳史 特別研究員が、この「掛け算」を可能にする光の量子状態の測定を成功させました。これで、必要な技術の準備が整い、いよいよ実際のマシンの製作が始まろうとしています。 「光」に秘められた可能性 量子コンピュータの計算能力はどのくらいすごいのだろうか。「問題の規模にもよりますし、誰も確かめた人はいませんが」と前置きしてから、「『富岳』のようなスーパーコンピュータで、宇宙が終わるまでの時間をかけてもできないほどの膨大な計算問題も、現実的な時間で計算できます」と阪口 特別研究員。 超伝導、光、イオントラップ、シリコン…。量子コンピュータにはさまざまな方式がある。20