(小谷太郎:大学教員・サイエンスライター) 最先端の研究テーマというものは、分野外の人には珍紛漢紛(ちんぷんかんぷん)、日本語にさえ聞こえないことがしばしばあります。 2020年5月8日、東京大学の大学院生・柴田直幸氏、吉岡信行・理化学研究所研究員、桂法称・東京大学准教授が、「量子の世界に『傷跡』を残す数理モデルを無限に構成する方法」を発見したと発表しました*1。論文は学術誌『フィジカル・レビュー・レターズ』に掲載され、さらに「編集部のお薦め」に選ばれました*2。業界注目の研究です。 しかし「量子の世界」の「傷跡」とはいったい何ごとでしょうか。「数理モデルを無限に構成する」とはどういうポエムなのでしょうか。 今回は、量子力学なんて食べたことないとおっしゃるかたを対象に、この量子力学の正統的な研究を、ガチで解説いたします。一緒に量子力学という分野の先端を垣間見てみましょう。 *1:https