高校生の頃だったか。ブルーバックスの「量子コンピュータ」を読んで以降、ずっと、量子コンピュータというものに憧れを抱いてきた。大学・大学院では量子情報光学の研究室にいた。その後、就職により量子コンピュータからは離れたが、不思議な縁があって、今は企業で量子コンピュータの応用研究をしている。そんな私は、量子コンピュータのアーリーアダプタだと自認している。 ハードウェアとしての「量子コンピュータ」、あるいは、量子コンピュータによる計算を表す「量子コンピューティング」とは何なのか? かつては、その意味は明確であったように思う。しかし、今現在、量子コンピューティングとは何か? と問われると、少し困ってしまう。 何故なのか。恐らく、以下のような背景があるのではないか。 D-Waveの量子アニーリング型量子コンピュータの登場 NISQ型量子コンピュータの登場 量子コンピュータのシミュレーション技術の発展