前回の記事「『消極的義務』の倫理――『トロッコ問題』の哲学者フィリパ・フットとその影響」では書ききれなかったネタがあふれるほど余っているので、おまけとしてそのいくつかを書いてみる。というのも、サンデルの授業で紹介されているだけでなく、最近おこなわれた中森明夫さんと宮台真司さんのイベントでこの「トロッコ問題」が取り上げられるなど(宮台さんはちょっと間違って覚えていたようだけれど)、ここのところトロッコ問題への関心が高まっているようなので、もうちょっとこのサンデルブーム、トロッコ問題ブーム(?)に便乗してみようかと。 まず最初に、トロッコ問題というかこの種の思考実験へのよく聞く異議申し立てとして、思考実験の設定自体が人工的すぎる、という意見がよく見られる。これにもいくつかパターンがあるけれども、一つは作業員の人数が五人対一人と言ってもその人たちが誰であるかによって答えが違ってくるではないかとい
![「トロッコ問題」記事への追記――思考実験の功罪、ダブルエフェクト原理、フィリパ・フットの真意 - macska dot org](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8d71ff5111e05619a10d29bb40d7aebaa75c8fbc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fs0.wp.com%2Fi%2Fblank.jpg)