菅政権に対して、自民党や右派メディアは「左派政権」という非難を浴びせている。私などは、当節の勉強不足の政治家や評論家は左派とは何かを知らない、こんな政権はまだ左派性が足りないと思うのだが、菅直人がいかなる意味の左派かを考えることは、この政権の特徴を捉えるための重要な切り口である。 菅はその出自からして、確かに左派的イメージを持った政治家である。権威主義を排して対等な個人同士が自由意思で結合する市民社会を志向するという点、市場経済の行きすぎを政府の力で是正し人間の尊厳を確保しようとするという点の二つにおいて、菅の主張は左派的である。こうした思想は現在の日本にとってきわめて必要なものであり、左派と言われても何ら恥じることはない。しかし、日本では左派というと現実を見ない夢想主義、政治の複雑さに耐えられない単純思考という響きもある。最近では、こうした特徴は連立離脱の際の社民党にも発揮された。 ヨー