● 日本の明朝体には存在しない「縦棒の信」 前回は『議員氏名の正確な表記』(以下、『正確な表記』)の作成において、忠実に「書かれた字のとおり」を目指したつもりでも、しんにょうの形に見られるように実際には無意識のうちに包摂していることを指摘した。つまり『正確な表記』は、作成者が思っているほどには「書かれた字のとおり」にはなっていない。では、こうした矛盾が『正確な表記』そのものに、どのような影響を及ぼしているのだろう。以下、具体的に見ていこうと思うが、これにあたってまず第3回で図1として掲げたものを再掲する(図1)。 ◇図1 『議員氏名の正確な表記』にある字をMac OS Xの上から分類したもの。(1)ではUnicodeの符号位置を、(2)ではCID番号を併記した。(3)は筆者による作字。いずれもヒラギノ明朝を使用。(4)の吹き出し内のフォントのみMS明朝を使用。なお、ピンクで示したUnico