幕末・維新を経て、近代国家として歩みはじめた、日本。その時代はまた、日本に「巨大メディア企業」が誕生する黎明期でもあった。 日本社会のさまざまな場面で垣間見える、権力とメディアの応酬。そして、インターネットを中心に広がる、既成メディアへの不信。だが、そもそもこの日本で、一般大衆と向き合うメディアは、どのようにして生まれ、拡大してきたのか。メディア、権力、大衆、そして近代史の暗部――。知られざる歴史に光を当ててきたノンフィクションライターの魚住昭氏が、ウェブという場で挑戦する、まったく新しい近代メディア史、新連載『大衆は神である』第1回。 目の前に積まれた段ボール箱を見たとき胸が高鳴った。その中には濃紺やあずき色のハードカバーにがっちり保護された、ぶ厚い合本が約150巻あった。講談社が昭和34年(1959)に編纂した社史『講談社の歩んだ五十年』のもとになった秘蔵資料である。 ここにたどり着く