僕は「パンダを救おうキャンペーン」の全盛期に育った。パンダについて心配するあまり、「そんなに珍しいものなら、どうしてロンドン動物園で2頭も飼っているの?」と母親に尋ねた記憶がある。動物園でもらって帰った世界自然保護基金(WWF)のワッペンにも、パンダのマークが付いていた(モデルは1972年に死亡するまでロンドン動物園の花形だったパンダのチチ)。 だが成長するにつれて、僕はいくつかの疑問を感じるようになった。もちろん、見た目は抱きしめたくなるほど可愛いが、パンダが食べるのは基本的に笹の葉だけ。大量に消費しても、大したカロリーは摂取できない。 交尾するケースはごく稀で、しかも交尾をしても妊娠する確率は低い。たまに赤ちゃんが産まれても、育たないケースも多い。 もしもパンダが絶滅したら、僕は悲しみに打ちひしがれるだろう。それは嘘じゃない。でも、仮にダーウィンが環境に適応できない種についての本を書い