蓄音機を前にした冨山勝敏さん=岩手県陸前高田市、緒方写す 「小さな喫茶店」「お富さん」などの懐かしい曲に、コーヒーの香り。1千人以上が避難する岩手県陸前高田市立第一中学校に、津波で流された音楽喫茶が復活した。休日限定のオープン。きっかけは、東京から送られてきた蓄音機だった。 「さあ、始めましょうか」。17日午後5時。2階の教室で、「h.イマジン」店長の冨山勝敏さん(69)が蓄音機のハンドルを回した。 約10人の被災者が、特製のブレンドコーヒーを片手に、体を小刻みに揺らし、曲に合わせて口ずさむ。そんな様子を冨山さんは笑顔で見つめながら、次のレコードを手に取った。約1時間、「青いカナリア」や「俺は待ってるぜ」など、10曲以上の懐かしい曲が次々と流れた。 冨山さんは市街地でジャズ喫茶を経営していた。地震発生時、客5人を避難させ、高台へ逃げた。津波警報がけたたましく鳴っていた。「海が目の前