<同時多発テロ後のアメリカを対テロ戦争へと先導したブッシュ元大統領。最近出版された自著の画集からは、戦争で負傷した兵士への深い贖罪の意識が感じられる> 筆者が住んでいるマサチューセッツ州は「アメリカで最もリベラルな州」として知られている。それゆえに、ジョージ・W・ブッシュ元大統領への反感は強い。 ブッシュは、高所得者優遇の減税で国民の収入格差を広げ、同時多発テロ後の国民感情を利用してネオコン(新右翼)のアジェンダを推し進め、アフガニスタン戦争とイラク戦争を開始し、クリントン政権が黒字にした財政を大幅な赤字にして、経済成長を遅らせ、金融危機を招いたからだ。 ところが最近になって、ブッシュを毛嫌いしていた人たちが、「ブッシュがそう悪人に思えなくなってきた」「懐かしさすら感じる」と言い出した。アンチ移民、アンチ環境保護、アンチ芸術、アンチ科学などの政策を押し進め、根拠がない噂を真実と主張し、自分