米国ワシントン州シアトル郊外に住む33歳の医療助手ダニー・サトウさんが、近所を散歩した後、自宅に向かって歩いていると、何か重たいものが胸にぶつかった。猛スピードで走り去る車から、中国人に対する人種差別的な言葉を叫ぶ声が聞こえた。 車は交通の流れの中に紛れ、ダニーさんはさっき自分に当たった1リットル入りのペットボトルを拾おうと身をかがめた。鎖骨に痛みが走ったが、ダニーさんは自分にこう言い聞かせた。こんなことくらいなんでもない、大丈夫だ。歩道にじっと立ったまま、彼女は祖母に思いを馳せた。 米国ワシントン州で医療助手として働くダニー・サトウさん。第二次世界大戦で日系人部隊にいた彼女の祖父と、戦時中カリフォルニアの日系人収容所に収監されていた祖母と一緒に。(PHOTOGRAPH BY KILIII YUYAN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 祖父のエイサク・"エース"・ヒロムラさんは、