反道徳的な就職競争:若田部昌澄(早稲田大学教授) 2010年4月25日(日)13:00 日本の春は区切りの季節であり、出会いと別れの季節でもある。3月に年度末を迎え、4月から新しい年度が始まる。 私の関係している大学でも、3月には卒業生を送り出し、4月に新入生を迎える。 だが、今年の卒業生を取り巻く現実にはひどく厳しいものがある。2月1日に発表された厚生労働省と文部科学省の合同調査によると、大卒卒業見込み者の内定率は80%である。これは調査を開始した2000年以降、最悪の数字であるという。 たしかに厳しい。最近では就職活動をするために、あえて留年するという学生がいるくらいだ。 さらに問題なのは、留学生の就職状況だ。この問題はあまり論じられることはないものの、せっかく日本で学び、少子高齢化の下で潜在的には日本の戦力となりうる留学生たちに就職先が提供されないのでは、国際化が泣くというものだろう