清野 由美 ジャーナリスト 1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。 この著者の記事を見る
清野 由美 ジャーナリスト 1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。 この著者の記事を見る
さて、ユーロ圏脱退に関する法的な交渉にも増して泥沼化すると予想されるのが、債権国とギリシャの間の債務をめぐる交渉だ。 これまで欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)はギリシャを救うために、天文学的な額を同国に貸してきた。2010年5月と2012年3月の2回にわたった準備した救済パッケージの資金枠は2709億ユーロ(37兆9260億円)に達する。このうち2157億ユーロ(30兆1980億円)がすでに融資として支払われている。 債権交渉の泥沼 債権国は2157億ユーロのうちどれだけを回収できるかについて、ギリシャ政府と交渉することになる。過去の国家破綻の例を見ると、債権国はすでに貸した金の大半を失うことになりそうだ。 たとえば2001年にアルゼンチンが債務不履行(デフォルト)に陥った。この時は、2005年と2012年に債務の一部減免が行われた。しかし債務返還をめぐる訴
(前回から読む) 韓国の大物記者2人が相次ぎ「事実よりも感情を優先して書く」と韓国メディアを批判した。矛先は、その扇動型メディアに動かされる朴槿恵(パク・クンヘ)大統領にも及ぶ。 朝鮮日報は扇動メディアだ 前回は、韓国で朴槿恵政権の外交が「無能」と批判されている、という話でした。 鈴置:保守派指導者の1人、趙甲済(チョ・カプチェ)氏は朴槿恵政権がスタートした2013年から「米中等距離」や「親中反日」外交は反米につながる危険なものだ、と繰り返し主張してきました(「米国も見透かす韓国の『卑日一人芝居』」参照)。 その意見が韓国でようやく理解され始めた時、趙甲済氏は「国内外で見捨てられる朴槿恵の親中反日路線」(4月23日、韓国語)を自身のネットメディアに載せました。 この記事が興味深いのは朴槿恵政権だけではなく、「反日」を扇動した主犯として、最大手紙の朝鮮日報を厳しく批判したことです。 趙甲済氏
トラック運転手の間で「心癒される運搬先」と評判の産業廃棄物処理会社がある。 場所は、埼玉県入間郡三芳町。かつて「産廃銀座」とも呼ばれた「くぬぎ山地区」だ。武蔵野の雑木林のなか、産廃会社が軒を連ねるアスファルト道路に突如、縁日の屋台を彷彿とさせる露店が姿を現す。その店先には地元特産の農産物やお弁当などが並ぶ。猛暑の日には、打ち水がなされ、塩を振った冷やしトマトやきゅうりが無料で運転手に配られる――。これが、異色の産業廃棄物処理会社、石坂産業のエントランスだ。経済産業省の「おもてなし経営企業選」にも選ばれた。 会社を率いるのは、2児の母でもある2代目経営者。その独自の経営戦略を、波乱の半生から得た教訓とともにつづる。 「あなたたち、いい加減なことをやっているんじゃないでしょうね!」 「見せてくれるというなら、じっくり見てやろうじゃないか」 なんだか穏やかではありませんね。 けれど、そのとき、私
野村浩子 ジャーナリスト・淑徳大学教授 日経ホーム出版社(現日経BP社)で「日経WOMAN」編集長、女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長などを歴任。日本経済新聞社・編集委員などを経て、2014年4月から、淑徳大学人文学部表現学科長・教授。財政制度等審議会委員など政府審議会委員も務める。 この著者の記事を見る
清野 由美 ジャーナリスト 1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。 この著者の記事を見る
九州電力、回答保留の衝撃 九州電力は、9月23日に再生可能エネルギー開発事業者による系統接続申請について、九電の全管内を対象に暫くの間、回答を保留すると発表した。25日には東北電力の海輪誠社長が記者会見で同様の検討を行っていると語った。再エネ開発の関係者は多く、全国に激震が走った。今回はこの問題を考察する。電力システム改革の本質にもつながる。 再生可能エネルギ-普及の切り札として、2012年7月に固定価格買取制度(FIT:Feed in Tariff)が導入され、民間投資を誘引している。しかし、これは「必要条件」であり、(1)立地、(2)系統(送配電線)への接続、(3)ファイナンスの3大制約の解消という「十分条件」の整備はこれからの状況である。このため、太陽光以外の再エネは、殆どがFIT認定に向けて調整している段階である。このタイミングでの電力会社の動きは、これまでの努力とコストを無にされ
天面には「チルド」「生もの」「依頼主の希望により、午前中にお届けします」といったシールが貼られている。封を開けると、ホウレンソウ、小松菜、ルッコラ、ミニトマト、ゴーヤ、ナス、カボチャ、ニンジン、ジャガイモ、キュウリなどがぎっしりと詰められていた。 兼業農家を営む妻の実家からの贈り物……ではない。私はその2日前の8月4日、とあるEC(電子商取引)サイトでこの生鮮野菜の詰め合わせセットを注文していた。私が人生で初めて、ネットで購入した生鮮野菜である。 利用したサイトは家電量販大手、ヨドバシカメラのものだ。特に対外的な発表などはなかったため、よほどの同社ファンでもない限り、ご存じの方はほぼいないだろう。同社は今年の6月にひっそりと生鮮野菜の取扱いを始めた。 品目は、私が購入した2980円(税込み)のセットと、3980円のセットの2つだけ。送料は他の商品をヨドバシのサイトで購入する時と同様、かから
ゼンショーホールディングスが、自社の労働環境を改善するために設置した第三者委員会は7月31日、調査報告書を同社に提出した。それに合わせて都内で開かれた第三者委員会の会見に出席した筆者は、あるデジャブ(既視感)を覚えた。 自己の成功体験にとらわれた思考・行動パターン――。デジャブをもたらしたのは、第三者委員会が、ゼンショーの労働環境が悪化した原因として挙げた1つの項目だった。というのも、会見からほんの3カ月ほど前、ワタミの桑原豊社長のインタビューで同じような話を聞いていたからだ。 ゼンショーとワタミは共通点が多い。両社はその労働環境の厳しさからインターネット上などで「ブラック企業」として批判を受け、それも一因となって、2013年末からアルバイトなどの人手不足が他社と比べて深刻となった。 アルバイトなどが集まらないことで、ゼンショーは主力業態の「すき家」が一時閉店や営業時間の短縮に追い込まれ、
「ニホンウナギがワシントン条約の規制対象になることを一番恐れている」 日本養鰻漁業協同組合連合会の白石嘉男会長はこう話す。2013年2月、既に環境省がニホンウナギを絶命危惧種に指定しており、白石会長はその頃から危機感を持ち始めたという。 稚魚が輸入規制されれば死活問題に IUCNのレッドリストには法的拘束力はなく、うなぎが禁漁になるなどただちに業界に大きな影響が及ぶものではない。だが、ワシントン条約はこのレッドリストを保護対象の野生動物を決める際に参考としており、今後、ニホンウナギが規制の対象になる可能性がある。 ワシントン条約では絶滅の可能性がある野生動植物を保護するため、対象となる動植物の輸出入を規制している。ワシントン条約と聞けば、アフリカゾウの取引を想起する読者も多いだろう。高値で取引される象牙目当てに乱獲が続いたため、1989年にワシントン条約でアフリカゾウの国際取引を禁止した。
6月13日(日本時間)、ブラジルでサッカーワールドカップが開幕する。世界中が熱狂する4年に1度のイベント。だが今年に入って、準備不足のドタバタが報じられた。スタジアム建設や交通インフラ整備が予定よりも遅れていることが話題になった。 2020年に東京五輪の開催を控える日本にとって、他人事ではないかもしれない。スタジアムなどの建設が予定通り進まない懸念要因として、人手不足が挙げられる。 今でも工事現場で働く左官や大工などの職人が足りない。現在、330万人が建設業に従事している。最悪のシナリオでは、2025年に約240万人にまで減ることが試算されている。 その一方で、建設需要は震災復興や東京五輪開催に向けた投資などで回復しつつある。建設経済研究所によると、2014年度の建設投資は約49兆円と、2010年度に比べ17%増える見通し。2020年の東京五輪に向けてオリンピックスタジアムや選手村など、主
「我々は欧州市場からは完全に締め出されてしまった。日本で再起を図る」。中国国営の太陽電池メーカー・寧夏銀星能源(銀星ソーラー)の上海支社副総経理・李俊氏は言う。 中国メーカーの増産による太陽電池の世界的な供給過剰は、欧米市場で価格破壊を引き起こした。到底採算が合うとは思えない安価なパネルが流れ込んでくる事態に、まっさきに悲鳴を上げた米国が2012年11月、中国製パネルに反ダンピング(不当廉売)課税の導入を決めた。次いで、長らく世界最大の太陽電池市場だった欧州までも、反ダンピング課税の導入を検討してきた。 供給過剰と欧米市場からの締め出しによって今年3月、世界トップシェアを誇った中国・尚徳電力(サンテックパワー)が事実上、経営破綻したことは記憶に新しい。 欧州委員会は8月2日、輸出時に「最低価格」を守った太陽電池については反ダンピング課税しないことで中国と合意。中国メーカーにとって最悪の事態
中国で“戸多多”が不届き千万な問題として大きくクローズアップされている。ここで言う“戸”は中国語の“戸口(戸籍)”の略で、“多多”は「多い」を意味するから、“戸多多”とは「1人で戸籍を多数持つこと」を指す。当然ながら、中国でも戸籍は国民1人につき1つが原則であり、本来なら例外なく各人が持つ戸籍は1つのはずだが、なぜか1人で複数の戸籍を有する違法な不届き者の存在が表面化し、それが大きな問題として注目を集めている。 ネットで告発される“房多多”とは 事の発端は、昨年末頃から各地で“房多多(1人で多数の不動産を所有すること)”の告発が頻発したことにある。“房多多”は、役人が職権濫用や収賄などの汚職や腐敗を通じて稼いだカネで多数の不動産を購入した結果であり、所有する不動産の名義は本人のみならず、妻や子女に分散する形で世間の目を欺いているのが常である。しかし、昨年末頃からこうした“房多多”の人々に対
自治体による「屋根貸しマッチング」が広がっている。太陽光パネルを設置する屋根を貸す「屋根貸し企業」と、太陽光パネルを設置して発電事業を営む「発電事業者」を仲介する事業である。広大な土地が少ない都市部において太陽光発電普及の“秘策”。故障など契約期間中のリスク精査に加え、メリットをいかに示すかが鍵になる。 東京都は昨年10月、発電事業者として35社を登録。屋根貸し希望企業を募集中で、すでに都の仲介が始まった。神奈川県は11月から、屋根貸しと屋根借りを希望する企業名をウェブサイト上で公開し、広く声がかかる仕組みを整えた。群馬県は11月、屋根貸し企業と発電事業者との個別相談会を実施し、マッチングの場を提供している。 3年分の売電収入を譲渡 これらの自治体は、都市部における太陽光発電の普及策として、屋根貸し事業に期待する。加えて、発電事業や屋根貸しに乗り出す中小企業の事業機会を広げる。 屋根貸し事
で、もう一つの系統が人権映画と言われてるものなんだけど、実はその範疇に戦争映画が入ってるんです。人権映画という大きなカテゴリがあって、その中に戦争映画が押し込まれてるんだよ。それが彼の面白いところというか、一種の詐術なんだけど。 普通は戦争映画と言ったらエンタメですよね。 押井:そうなんだけど、でも彼の場合は賞狙いに行くような人権映画を取るときに戦争というシチュエーションが入ってくる。たぶんこれを指摘した人間はあんまりいないと思う(笑)。でも言われてみればそのとおりでしょ。 どうしてなんでしょうか? 押井:それはズバリ、彼がユダヤ系だから。これはアメリカの監督を考えるときには必須の要件でもあるんです。明らかに「この人はユダヤ系だな」というのがわかるときがある。それは監督だけじゃなくてプロデューサーも。そういうときは必ずある種の政治的なバイアスがかかってると考えて間違いないんです。 マイノリ
一般に流布されている「理想の睡眠は8時間」というのは間違いで、それだけ長い間眠ることができるのは、中学生くらいまでだそうだ。その人がまだ眠りを必要としているかどうかは、脳波の測定で分かり、成人後は7時間台、70歳で6時間くらいというのが平均値だ。しかし、日本では、「8時間神話」が根強いのか、眠れないのに眠ろうとする人が多いという。 不眠症について質問した時、三島さんがまず強調したのは、まさにその件だった。 「70歳近くなると、正味6時間くらいしか眠れないというのは、つまりそれで充分ということなんですね。だけど日本の65歳の人は、平均で寝床に9時間もいるんです。だから、3時間は寝床にいても眠れなくて、いったん眠ってもトイレに行った後しばらく起きていたりとか、そういうことを繰り返している。そんなの不眠が悪くなるに決まってるんですね」 眠れないのに寝床に長い時間いるから不眠が悪くなる。 これはど
今回は、世界の情勢を解説した前回に続き、国内での洋上風力発電を巡る動きを紹介する。将来の事業と思われていた分野が、やや期待先行気味ではあるが、瞬く間にエース格に浮上している。 急展開する日本の洋上風力 洋上風力発電に熱い視線が注がれている。ナショナルプロジェクトとも言える大規模実証事業が登場しているほか、民間主導の計画が発表され、研究会が立ち上がっている。 福島県の沖合では、巨額の国家予算を投入して浮体式洋上風力発電の実証事業が進んでいる。再生可能エネルギ-立県を決めた福島県が復興する象徴として、早期の産業化を目指して従来の常識を越える予算を投入する。浮体式は、先行する欧州でも研究中であり、未知の分野が多く時間を要するといわれているが、数年の内に7000kW規模の大規模風車を制御するシステム確立を目指す。 このほか、鹿島港などの沖合でも3万kWもの商業風車が稼働・建設中であり、長崎県五島列
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